第214話華音とルーマニア大使館の美女エレーナの初顔合わせ
立花管理人がドアを開け、華音たちは応接室に入った。
すると壮年の日本人男性が一人、立ち上がった。
この男性が外務省の官僚らしい。
それから金髪の外国人女性も一人立ち上がった。
その女性は20代前半だろうか、かなり若く美しい。
となると、この女性がルーマニア大使館員と思われる。
華音が、その来客二人に頭を下げた。
「初めまして、三田華音と申します、大変お待たせして申し訳ありません」
「それから両隣に、いとこのシルビアと春香です」
シルビアと春香は、素直に頭を下げる。
すると男性が華音に頭を下げて名刺を渡しながら挨拶。
「いえいえ、勝手に押しかけたのは私たちです」
「私は、外務省の高井と申します、主に中欧関係の仕事をしております」
華音が高井から名刺を受け取ると、高井は次に金髪女性の紹介をする。
「ルーマニア大使館のエレーナさんです」
高井から「エレーナ」と紹介された金髪女性が、少し頭を下げ、華音を真っ直ぐに見つめ、自己紹介。
「華音様、そして皆様、初めまして、ルーマニア大使館のエレーナと申します」
とにかくよどみない日本語、華音たちが驚くけれど、エレーナは言葉を続ける。
「本当に急なお願いですが、少々のお願いがあって参りました」
華音は続いて自分の後に立つ学友を紹介する。
「僕の後には、学園のクラスメイトの雨宮瞳さん、所属している文学研究会の部長の長谷川直美さん、花井芳香さん、佐藤美紀さん、志田真由美さんです」
その紹介で、緊張気味に紹介された全員が頭を下げる。
一応の挨拶が終わった時点で、華音たちの後に控えていた立花管理人が、全員に声をかけた。
「それでは、まずお座りになられてください」
その声かけで、全員が座り、会話が再開された。
外務省高井は再び華音に頭を下げる。
「本当に急な話で、申し訳ありません」
華音は、冷静ながら確認する。
「主に外務省と言うよりは、ルーマニア大使館の必要に迫られて、とのことなのでしょうか」
ルーマニア大使館のエレーナの顔が、少し赤らんだ。
「はい、我がルーマニアとも、相当な深い関係にありました華音様のお祖父様の収集なされた書籍の中に、相当な貴重な物があるということが、母国の大学教授により判明をいたしまして」
「もちろん、お買い求めになられた書籍は、お祖父さまの物、つまり、ここのお屋敷の物となるのですが」
華音は静かにエレーナの話を聞いていたけれど、立花管理人から既に聞いていたこともあり、それを確認する。
「あの、エレーナさん、トランシルヴァニアの歴史に関する書籍なのでしょうか」
するとエレーナの顔がパッと輝く。
「はい、その通りです、どうしても確認したいことがありまして」
華音は、頷いた。
「それなら・・・隣の洋館に、数冊ございます」
「書名を教えていただければ、こちらまでお持ちいたします」
その華音の言葉と同時に、立花管理人がエレーナにメモ用紙をペンを差し出すと、エレーナは真顔。
スラスラと書籍名を何冊か書いていく。
エレーナが書籍名を書いたメモ用紙を華音に渡すと、華音はそれを立花管理人に渡す。
立花管理人がそのメモ用紙を持ち、応接室から一旦姿を消した時点で、華音はエレーナの顔を正面で見て、ポツリ。
「エレーナさん、もしかしてドラキュラ伯爵と黒魔術の本なのですか?」
真赤なエレーナの顔が、ますます赤くなっている。
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