第213話華音の屋敷に到着、立花管理人からの情報など。

華音たちの一行は、華音の屋敷に入った。

雨宮瞳は既に何度も入ったことがあるけれど、文学研究会女子は驚いている。


長谷川直美

「はぁ・・・すっごいお屋敷・・・奈良の華音君のご実家もすごいけれど・・・」

花井芳香

「これで華音君の彼女になると、玉の腰だ」

佐藤美紀

「え!うん!私もそれ狙う!」

志田真由美

「だめ、先輩方、私のほうが若い、私に決定!」


そんなやり取りを春香は笑っているけれど、雨宮瞳は気が気ではない様子。


華音と一行が黒ベンツをおりると、玄関にはもう一人の従姉、シルビアが腕を組んで立っている。

華音は、ここでも従姉を紹介しなければならない。

「シルビアさんです、祖母の姪の娘で、ベルギー出身になります」


シルビアからも自己紹介。

「はい、私がシルビアです、華音の遠縁、春香とは同じ学園に通っています」

「華音が大変お世話になっております」

と、満面の笑みを浮かべて挨拶をする。


文学研究会女子も、それぞれ名前を言って頭を下げるけれど、内心はシルビアにも驚いている。

長谷川直美

「うー・・・あの胸の張りは何?マジで負けた」

花井芳香

「目がクリクリっとして小顔、モデルさんみたいにきれい・・・はぁ・・・」

佐藤美紀

「ウェストのくびれ、美脚・・・水着になったら・・・ドキドキする」

志田真由美

「春香さんといい、シルビアさんといい、華音君は美女に囲まれている」


そんな状態の中、立花管理人が顔を見せた。

「華音様、そして御学友の皆様、応接室までご案内したします」

「本当に御学友の皆さまには、突然では申し訳ございません」

「何しろ、ルーマニア大使館の方々も、美味しい食事はたくさんの人で、という御意向がおありのようで」

と、立花管理人が深く頭を下げる。


そんな立花管理人に長谷川直美。

「いえいえ・・・こんな素晴らしいお屋敷で珍しい国のお料理、とても楽しみです」

長谷川直美の言葉に、文学研究会女子も雨宮瞳も、全く同感のようで、柔らかい笑みを浮かべている。


立花管理人がホッとした顔で、華音に頭を下げ、歩きだすと華音が立花管理人に尋ねる。

「ねえ、立花さん、お祖父さんの関係かな」

華音としても、ある程度は予備知識が欲しいと思っている。


立花管理人は、深く頷く。

「はい、華音様、その通りです」

「ここの屋敷にあるルーマニアのトランシルヴァニアの歴史を記した書籍について、ルーマニア大使館が確認したい部分があるとのこと」

「ルーマニア料理については、大恩ある先々代の御孫さんである華音様とお近づきになりたいという、気持ちのようです」

「とにかく顔合わせをしてからのことに」


その立花管理人の応えに、華音はまた考える。

「ルーマニアのトランシルヴァニアの歴史・・・」

「有名なのは、例のドラキュラ伯爵かなあ」

「トルコとかの戦争期かな」


少しうつむいて廊下を歩く華音の腕を、シルビアが引いた。

「華音、気を付けてね」

華音が驚いてシルビアを見ると、シルビアは真顔。

「メチャ、妖艶な女も来ている」


華音は、意味不明な様子になっている。

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