第176話松田明美の「華音とお風呂」は一回?空振り。華音は深刻な会議中。

松田明美は、連絡の通り、午後6時に華音の屋敷に到着したけれど、お望みである「華音と一緒にお風呂」は実現できなかった。

それは、その5分前に柳生事務所の一団が、華音の屋敷に到着。

そしてそのまま華音と立花管理人を含めて「結果報告と今後の課題について」、会議を始めてしまったため。


楽しみを奪われて落胆しきりの松田明美に今西圭子がニヤリと笑う。

「ねえ、警察さん、あなたも会議に参加したら?」

「うーーん・・・そんな汗まみれでねえ・・・」

「ほら・・・お化粧、そこのところ、くずれてきてる」


松田明美は、その言葉で超立腹。

「ねえ、圭子!あなた、どうして・・・そう性格が悪いの?」

「昔っから、そう!」

「私と華音ちゃんの、愛の一時を邪魔するって、犯罪だよ」


今西圭子は、松田明美の超立腹を軽く受け流す。

「はあ?いいから先にお風呂したら?」

「汗臭い・・・」

「着替えて来てよ・・・華音ちゃんと愛の一時?百年早い」


そして、低くまともな声。

「今回のお手柄だって、柳生事務所の情報からでしょ?」

「だったら、早く汗流して来て、会議に参加したら?」

「それが当然なのでは?税金で暮らしている役人として」


松田明美は、この時点で、今西圭子に負けた。

ブツブツ言いながら、大風呂に向かう。

「何さ、自分だって、税金で暮らしているくせに!」

「それに何?文化庁?私は身体を張って市民を守っているの」

「あーーー気に入らない!あの豊胸女!」

そして思った。

「いいや、お風呂もう一度入れば、そうすれば華音ちゃんを洗うことに専念できる」

なんのことはない、松田明美は、「華音と一緒のお風呂」をあきらめない。

その意味で、かなり意志貫徹の性格のようだ。



松田明美と今西圭子の、「華音は関知しない口争い」はともかく、会議室では真面目な話が続いている。


柳生隆。

「華音君が感づいてくれたので、ヤクザ事務所も政治家も、退治できそうだよ」

華音

「とにかく大きな怖い男の人の汚らしいオーラと、真奈ちゃんの涙と不安のオーラを感じたんです」


柳生清

「まず、あのヤクザ男の組事務所は篠山組の上部団体、元国鉄系の左翼テロ集団、野党政治家と関係が深い」

「古くは成田闘争、数年前の安保法制の国会前デモ、最近の天皇制廃止デモにも深く関与」

松田スタッフ。

「女性アイドルグループの興行にも深く関与して、スポンサーから大金を警護料名目で上納させる、それも大きな資金源」

「篠山組は詐欺系で資金を獲得、それをヤクザ男の組に一部を上納」

小島スタッフ

「それが今回の一斉捜査で明らかな資料がが出て来た」

小久保スタッフ

「かなりな脱税、税務当局へのその政治家の介入もあったようで、その時の経緯もPCから発見」

吉田スタッフ

「政治家も買春記録が公に、こればかりは辞職やむなしと、野党幹部が認めた」

「マスコミも一斉に政治家の家に向かっている」


柳生隆

「ただね、まだ安心はできない」

「あちこちに潜ませている関係者が、とんでもないテロをする場合がある」


華音は、目を閉じて考えている。

そしてポツリ。

「鉄道テロが怖い・・・まずはそれ・・・」

華音の言葉で、柳生事務所全員の表情が厳しくなっている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る