第177話鉄道テロとその対象は華音?
柳生隆が腕を組んだ。
「鉄道テロは、様々な形態がある」
「駅施設を対象にしたもの、車両にしかけるもの、交通システムを対象とするもの」
柳生清が補足する。
「駅施設については爆破、かつて日本であった地下鉄サリン事件のようなもの」
「そうなると、車両も絡むけれど」
「難しいのは、システムそのものを対象にしてきた場合」
橋本スタッフは難しい顔。
「送電システム、PCシステム、全ての警戒が必要です」
高田スタッフも難しい顔。
「空調システムに、拡散性の強い毒物をセットすれば、駅構内でも車両でも、被害者は続出する」
井岡スタッフは柳生清の顔を見た。
「鉄道会社で仕事をする人ならば、可能なことでは」
「特に追いつめられた鉄道系の活動家というより、テロリストたちには」
じっと話を聞いていた華音がポツリ。
「とにかく情報収集と各施設の監視強化」
そして柳生清の顔を見た。
「官邸と国交省に連絡願います、そして万が一発生した場合の救護体制、警察も・・・」
その柳生清が深く頷いた時だった。
会議室のドアが開き、松田明美が入って来た。
風呂上りらしく、まだ顔が上気している。
柳生隆はクスッと笑う。
「ちょうどよかった、今、鉄道テロの話になって、華音君が警察の話をしていた」
松田明美は、華音ににっこりと笑い、そして会議室全体を見回して、頭を下げた。
「ありがとうございます、不安なことが多いので、協力をいただけると助かります」
「ただでさえ、対策が難しい鉄道テロということもありますので」
華音が、真顔で松田明美を見た。
「テロの人たちも、特に攻撃対象がある場合と、警告の意味での無差別の時があるのでは」
柳生清が華音の真顔に対応した。
「と言うと?」
華音は、悲しそうな顔になった。
「もしかすると、僕を狙ってくるかもしれない」
「例の持って来いヤクザと、篠山組のこと、井の頭公園のこと、真奈ちゃんのこともあるかなあ」
柳生隆が、その意味を説明する。
「要するに、篠山組の資金源の持って来い詐欺をつぶし、篠山組は息子を含めて退治で資金源も断つ、その上部団体の鉄道系テロヤクザ団体は警察が入って瀕死状態、それと密接な関係を持っていた政治家も美少女買春まで明るみにでて、窮地」
「井の頭公園のチンピラも、同じようなもの、鉄道系テロヤクザの手下」
「その一連の動きに、全て華音君が絡んでいる」
松田明美の血相が変わった。
「って・・・そのテロリストって、まずは華音ちゃんを攻撃するってこと?」
しかし華音は冷静に戻った。
「それはそうさ、もう、僕の事なんて、その手の人は調べていると思うよ」
「一番邪魔な相手をつぶしておかないと、いつ自分たちに被害が回るか心配でならない」
「僕を狙ってくるのは、当たり前のこと」
会議室は、深刻な雰囲気に包まれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます