第167話松田スタッフの妹明美刑事登場、今西圭子とは恋敵?

華音やフロント客たちが呆れて、その政治家の言葉を聞いていると、松田スタッフが一人のスーツ姿の女性を連れて入って来た。

井岡スタッフと、根津ホテルマンとは互いに会釈。

また三人の警察官とも、会釈をしているので、どうやらお互いに知己のようだ。


松田スタッフが華音の前に来た。

「久しぶりね、華音君」

華音は、神妙に頭を下げる。

「はい、面倒なことに」

松田スタッフは、クスッと笑う。

「何かしでかすと思っていたけれど、井の頭公園から始まって、今度は吉祥寺で大物政治家と芸能ヤクザ」


そして、スーツ姿の若い女性を紹介する。

「この人ね、警察庁本庁の刑事さん、いわゆる女性誘拐とか恐喝専門の人」

そして、また笑う。

「私の実の妹なの、明美・・・」


その松田明美が自己紹介。

「華音君、松田明美です」

と、そこまで言って、間を置く。

「久しぶりだよね、華音君」

松田明美は、ニコニコと笑っている。


華音は、ハッとした顔。

「えーーー?あの明美お姉さん?」

「すごくキチンとしていて、わからなかった」


その華音の応えに、松田明美は口を尖らせる。

「何よ!もう・・・」

「そのキチンとしてって言い方気に入らない」


その華音と妹明美のやりとりに、松田スタッフは、笑いをこらえきれない。

「そうよね、明美は、自由奔放タイプ」

「高校生の時は、超ミニスカで、美脚を見せびらかし」


松田明美が、その言葉で華音を、にらむ。

「華音ちゃんだけ、私の美脚に何も反応が無かった」

「いつもいうことは寒くない?」

「あれは、マジで蹴飛ばしたくなった」


松田スタッフが、何かを思い出したらしい。

笑いながら、明美を見る。

そして小声で明美に、

「ねえ、今西圭子さんがいるんだけど・・・」


その言葉に、明美は即反応。

「うん・・・あいつは、リスク満載」

どうやら、明美は今西圭子に「何か特別の意識」があるようだ。


そんな明美の「特別の意識」など無関心な華音は、

「あの・・・別室で、その女の子が・・・」

「今西の圭子さん、シルビアと春香も、僕の部活の部長さんもいます」

と、必死に話題転換を試みる。


その「今西圭子」の名前で、明美の表情が変わるけれど、華音は気がつかない。


華音の所に井岡スタッフが、歩いて来た。

「華音君、政治家とヤクザは、僕たちに任せて」

「華音君と、松田姉妹は別室に」


華音は、そこで、少し引き気味。

「えっと、別室は女性だけでどうでしょうか」

とにかく、別室行きは、避けたい雰囲気。


松田明美の反応は、またしても超速。

華音に抵抗を許さず腕を組んでしまった。

「うるさい!華音ちゃん!ゴチャゴチャ言わない!」

そして、華音を引きずるように、歩きだす。


呆れて見ている井岡スタッフが、松田スタッフに質問。

「松田さん、明美さんの表情が変わったんだけど」


松田スタッフは、ニヤリと笑って答えた。

「明美はね、今西圭子さんと、小さな頃から華音君を取り合ったの」

「もうすごい年上なのにね、華音君を抱っこしたがってね、それで取り合い」

「華音君がお人形みたいなもの」


井岡スタッフは、これから起こるバトルが想像できた。

そして、頭を抱えている。

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