第162話高級ホテルで首を傾げる華音、そして何かを察知?
華音は、井岡スタッフの手の合図に従うのみ、そのまま高級ホテルに入った。
そして入ると同時に、井岡スタッフは姿が見えない位置に移動している。
華音がフロントまで進むと、立派なホテルの制服に身を包んだ偉そうな男性が出て来た。
ネームプレートには根津とある。
そして、華音に深く頭を下げる。
「華音様ですね、予約は確かに承っております」
「別室にご案内いたします」
華音は、フロントを少しキョロキョロして、井岡スタッフを確認。
その目で謝意を伝える。
ただ、その他にも気になることがあるような表情をしている。
根津ホテルマンは、華音の前を歩きだす。
華音も歩きだすと、その後に、女性たちが続く。
その華音は、途中で首を傾げる。
そして根津ホテルマンに声をかけた。
「あの・・・もしかして・・・根津のおじさんですよね」
その質問に根津ホテルマンは、クスッと笑う。
「はい、華音坊ちゃま、お久しぶりです」
「10年ぶりですね、大きくなられて」
華音が「へえ・・・」となっていると、シルビアが華音に文句。
「どうして最初にわからない?マジ、アホ」
春香もきつい。
「あれほどお屋敷で一緒に遊んでもらって・・・」
「これは、夜に正座させて、お説教2時間」
華音は、ガックリと肩を落としてしまう。
ただ、後ろからついて歩くだけの長谷川直美には、さっぱり理解できない。
「華音君、何時予約したの?」
「それにあの立派なホテルマンとお知り合い?」
「確かに、すごい御家柄だけど」
首を傾げる長谷川直美に、今西圭子が解説。
「根津さんは、かつて、華音君の東京のお祖父さんが経営する貿易会社にいたし、一時的に華音君が今住んでいるお屋敷で働いていたこともあるの」
「今は、この高級ホテルのチーフ」
「もともとは、華音の東京のお祖父さんが深くかかわったホテルということもある」
今西圭子は、そこまで解説してから、井岡スタッフの考えを理解した。
「ホテルの中の別室なら、警護が何重にも張れるから、安全なのか」
「さすが柳生事務所、忍者の末裔」
根津ホテルマンの足が止まった。
どうやら、ここが準備された別室のようだ。
ただ、素晴らしく立派なドア、厳めしくもある。
根津ホテルマンは笑顔。
「お祖父さんが、御愛用の部屋を準備しました」
華音は、根津ホテルマンに深く頭を下げる。
「助かります、吉祥寺とか都会には不慣れで」
根津ホテルマンがドアを開けると、少し見えただけで、超豪華な内装の別室。
シルビアと春香は、その時点でご機嫌。
華音を押しのけて、長谷川直美の手を引き、別室に入って行く。
しかし、華音はすぐに入らない。
根津ホテルマンと井岡スタッフに何か話がある雰囲気。
また今西圭子も、少々厳し気な顔になっている。
すると井岡スタッフから華音のスマホにメッセージ。
「華音君の気にしていることがわかった」
「しばらく監視する」
華音が根津ホテルマンの耳に何かを囁くと、根津ホテルマンの顔が厳しい。
「わかりました、華音様、対応します」
根津ホテルマンは、軽く会釈、フロントに早足で歩いていく。
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