第157話事後処理と、華音の危険な発言

柳生事務所からの連絡を受け、地元警察も、すぐに井の頭公園に到着。

今西圭子が撮影した、華音とヤクザ風の男との対峙の動画を確認する。

すでに手錠をかけられていたこともあり、若手の警察官たちが、スンナリとヤクザたちを連行していく。


井岡スタッフが現場に残った年長の警察官に、華音を紹介する。

「かのお屋敷のお孫さんで、柳生霧冬先生の最後にして最強の愛弟子」


年長の警察官は、佐藤と名乗り、華音に微笑む。

「そうか、君が噂の華音君か」

「学園前での持ってこい詐欺の時は、本当にありがとう」

「今回も本当に助かる」

「我々も、地域をマメに巡回しているけれど、なかなか犯行現場に遭遇できない」

「それで、後追い捜査で苦労するんだ」


華音も、ニコニコとしている。

「いえ、今回は、何もしていません、少し話をしたぐらいで」

そして、横たわったままのホームレス三人を見て、

「佐藤警察官様、少々の治療を施しましたけれど、完璧ではありません」

「救急車に乗り込む際にも、一言、お口添えを」

と、頭を深く下げる。


佐藤警察官も、深く頷く。

「それは任せてほしい」

「犯罪被害者は守らなければならない」


そんな話をしていると、柳生事務所の柳生清と隆も現場に到着した。

佐藤警察官も、柳生清と隆は、古くからの知己らしい。

笑顔で迎える。

柳生清

「ヤクザ者の余罪を探ることと、処罰」

「それから・・・」

柳生清は、佐藤警察官の耳に口を寄せた。

「上手に、このホームレス三人の身元と事情を調べて欲しい」

「俺の事務所も協力する」


佐藤警察官が、安心したように頷くと、柳生隆が華音たちを見た。

「華音とお姉さま方は、もういいよ」

「後は、僕たちに任せて」

「お散歩したいんでしょ?」


すかさず今西圭子が答えた。

少々気に入らない顔。

「隆君、それはありがとう」

「ただね、私と貴方って、それほど年が離れていないの」

「それを年増扱い風な言い方って気に入らない」


シルビアは、ニヤニヤとしている。

「だって、大年増」

春香は華音を見た。

「華音がガキンチョだから、誰でもお姉さんなのでは?」


華音は、そんな「お姉さまたち三人」の話に呆れた。

「ねえ、そんな漫才やってどうなるの?」

「僕たちがここにいても、事後処理の邪魔になるの」


そして、下を向いてブツブツと文句を言い始める。

「そんな・・・ガキンチョ、ガキンチョって子ども扱いしてさ」

「いつも、文句ばかり」

「そういう文句ばかり言っている人のことを、何て言うか知ってる?」


華音の質問には、お姉さま方三人も柳生事務所も、佐藤警察官も、ホームレス三人も注目。

すると華音は、得意そうな顔。

「そういう文句ばかり言う人は、馬の口文句たれべえって言うの」


柳生事務所、佐藤警察官、ホームレス三人までが、プッとふき出すなか、お姉さまたちは、またご立腹。

今西圭子は華音のお尻を思いっきりバシン。

シルビアと春香は、両側から華音の頬を、厳しくつねりあげている。




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