第153話柳生事務所が収集した情報、華音は外出したいらしいけれど・・・

柳生事務所には、スタッフが様々な情報を持ってくる。


橋本スタッフ。

「プラカードや旗を大量に発注した模様」

「おそらく天皇制廃止デモで使用すると思います」

「文言としては、天皇制廃止」

「元号廃止」

「自衛隊廃止」

「日米安保廃止」

「憲法改悪反対、現憲法を遵守せよ」


柳生隆が、笑いをこらえきれない。

「天皇制廃止と、現憲法遵守は、そもそも矛盾」

「元号廃止といっても、これだけ長期間継続していて、新元号発表で号外が出るとか、お祭り騒ぎになるのに、とても民意は得られない」

「自衛隊が廃止されて日米安保を廃止したら、どうなる?」

「非武装平和主義を唱えていれば、日本が丸腰になっても、外国から攻め込んでこられないという保証がどこにある?」

「よく考えれば、そんなお人よしの国に囲まれていないことなど、すぐにわかるのに」


鉄道テロ関係の情報を調べていた井岡スタッフ。

「鉄道テロ担当の工作員グループが、動き出しました」

「各地の鉄道運行に関する電源設備の破壊」

「鉄道運行をコントロールするコンピュータシステムを停止するウィルスの開発」


柳生清

「大掛かりな天皇制廃止デモの日に設定するだろうな」

「警察と機動隊は、大混乱に陥る」


高田スタッフの情報も危険なもの。

「パリで数か月以上、暴動が続いているのですが」

「それを東京でもやりたいらしい」

「予定地は、銀座、新宿、渋谷」

「・・・それから皇居周辺を取り囲む予定だそうです」


柳生隆は厳しい顔。

「一回でも苦労する、それがパリのように数か月続くとなると」

「物的被害、人的被害・・・」

「こうなると、国家で対応するしかないなあ」


柳生隆も頷く。

「我々の仕事の範囲は、あくまでも華音君の周辺の警護」

「まずは、それを徹底しよう」

「ただ、集めた情報については、しかるべき筋を通じて官邸に送る」



そんな情報分析を重ねている柳生事務所に、立花管理人から電話連絡があった。

柳生隆が電話に出ると、

立花管理人

「あの、誠に申し訳ないのですが、華音様の件です」

柳生隆

「うん、何かしでかしたの?」

立花管理人

「いえ、そうではないのですが、都内見物をしたいと言っておりまして」

柳生隆

「うーん・・・警護つけたほうがいいかな」

立花管理人

「それに今西家の圭子さと、シルビア嬢と春香さまも同行したいようです」

柳生隆

「場所的には?」

立花管理人

「華音様の口からは、新宿に行きたいとかなんですが、女性三人が反対しておりまして」

「それも三人別々の場所、圭子さまは御茶ノ水、シルビアは銀座、春香様は渋谷と・・・」


柳生隆は、苦笑い。

「華音も大変だねえ、性格の強いお姉さんが三人、それにヘキエキしているだろうね」


柳生隆が、電話の途中で井岡スタッフに目で合図すると、井岡スタッフが警護のため、華音の屋敷に向かった。

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