第6話 檻
神は存在しない。そんなことは知っている。だが、今はいてほしいと願っている。
それは、戦場を見たからか?それとも・・・。
うーん、これ以上疑問を増やすのはやめておこう。考えるのは面倒だ。
そういう時に、私は聖書を読む。こんなもの読んだところで何の意味もないことは、知っている。だが、これを読んで集中しているうちは、自分がおかれている状況を考えなくて済む。
考えれば考えるほど私は、任務に集中できなくなり、体がうまく動かなくなった。
そして、今日。私は、一週間後に廃棄されることになった。
タイレル先生とは、いろいろな話をした。先生は私が廃棄されないように上官に掛け合ってくれたらしい。この一件でタイレル先生と上官の仲が悪くならないか心配だ。まぁ、今は他人を心配している場合じゃないが。
なぜか今は安心している。戦場にいた時は、恐怖ばかりを感じていた。
廃棄が決まり、私は、今まで何に恐怖していたのか理解した。
私は、先の見えない未来に恐怖していたのだ。今なら私の未来ははっきりとわかる。だから今は安心して。檻の中で待とう。
戦地の近代兵器達 @taka-
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