あるあるその21 加点法で評価しすぎ

 今の社会は減点法だからこんなにも息苦しいものになってしまいました。これからは加点法で評価すべきです! 加点法に変えればすべてがうまくいく! とさえ言うコンサルタントや本もあります。


 ですが加点法と言えど万能ではなく、加点法だからこそ存在する欠点というものもあります。




 もったいぶらずに先に説明しますと、加点法だと「成果を無視して得点稼ぎに走ってしまう」事が起こるのです。


 1つ事例を挙げましょう。もしラーメンを加点法で評価するのなら、二郎のラーメンこそが世界で最高のラーメンになります。

 大量の麺、大量の具、大量の油、そして大量の化学調味料。加点法で評価するのなら間違いなく世界最強のラーメンです。

 ……でも実際にはもっとおいしいラーメン店をご存じのはずですよね?(もちろん食べ比べた末に「二郎こそ最高のラーメンだ!」という人もいるでしょうが)

 加点法ではこのように「とりあえず足しとけ、損はしねえから」という「余計な足し算」が頻繁に起こりがちなのです。


 逆に減点法にもきちんとメリットはあって、航空機のパイロットとか、執刀医(要は手術を行うお医者さん)といった「絶対に失敗が許されない」職業では加点法よりもむしろ減点法の評価の方がより優秀な人物を評価できるでしょう。

 執刀医には「うっかり別の血管を切っちゃいましたテヘペロ★ミ でも他の場所で頑張るから大丈夫!」なんて事は絶対許されませんからね。即座に医療事故と通報されるでしょう。




 ビジネス書では加点法がいかに素晴らしいか、逆に減点法はいかに時代遅れでイカしてないのかを盛大に語っていますが、個人的にはあくまで加点法も減点法も「評価の仕方の違い」であって、「評価方法が違えば評価されやすい人物も違ってくる」だけです。


 よく加点法VS減点法なんていう見出しがありますが、加点法も減点法もそこに上下関係や優劣というのは無いでしょうし、先ほども言いました通り減点法で評価したほうが良い。という職業もあるでしょう。


 加点法と減点法は目的地に行くのに車を使うか電車を使うか位の違いで、どちらにもメリットとデメリットがあります。それを考えずにただひたすら加点法を賛美するのは危ういというか、浅はかなのだと思います。

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