あるあるその18 カエル茹でられすぎ

 突然ですがあなたは「茹でガエル」のお話をご存知でしょうか?

 水の温度を少しずつ上げていくとカエルは水温の変化に気付かずに茹であがってしまう。というものです。


 ビジネス書では「お前カエル嫌いなのか? それともカエルに何か恨みでもあるのか?」っていう位の勢いでひたすらにカエルを茹でまくりますが、これは「死」という強烈な言葉をぶつけるための策略なのです。




 ちょっと話は変わりますがTVのCMでも今も昔も「死」とまでは言わないものの、相手を不安にさせたり恐怖を与えるメッセージをこれでもかとぶち込みます。

 そして、それをきれいさっぱり解決する商品がいかに素晴らしいかを売り込むわけです。


 例えば「ゴキブリ、ハエ、クモ」という不快なものを最初に出してきて、それに「でも大丈夫! このスプレーがあれば!」と売り込もうとしている殺虫スプレーを出して「どんな虫もイチコロ!」と言って安心させるわけです。


 もっとソフトな形にすれば「もしもの事故の時、あなたはどうしますか?」と不安にさせて「そこで選ばれてるのはこの保険」と売り込むという手口でもいいです。


 ビジネス書をはじめとしたその手の本もこれと似ていて、まず茹でガエルという形で「死」のイメージを与えます。

 「死」というのは人間なら誰しも恐怖している存在であり、それだけインパクトが強いので注目してもらうには非常に好都合なのです。

 そして「死」のイメージで縮こまったところで「大丈夫! これさえあればあなたは茹でガエルにならずに済みます!」と自信満々に自分の商品を紹介するわけです。




 この流れをキッチリ守っているのがTV通販で、どの商品も全体的な流れは全くと言っていいほど同じです。

 なぜならもう「売れるパターン」は長い間の研究で結論はすでに出ているため、後はそれをそのまま使えばいいという所まで行ってるからです。

 BSやCS番組のCM、あるいは番組そのもので見る機会が多いため暇なときに見てみるといいでしょう。


 ちなみにチラシからCMに至るあらゆる宣伝を「どうやって売り込むか」という企画者側の目線で見るというのは、彼らが仕掛けた「罠」を回避するために大変重要な考え方なのでぜひとも覚えてもらいたいものです。

 これを覚えてもらうだけでもこの小説を書いた意義はあると言ってもいいくらい重要です。




 余談になりますが、カエルは本当に茹でガエルになるのだろうか?

 という実験をした人が過去にいたそうで(とてつもなくバカバカしい上に大して価値の無い、本当に下らない実験をまじめに取り組む研究者は本当に、本当に立派だ)、温度が上がると普通にもがいて逃げようとした。という記録が残っているそうです。

 本の著者もそのことを知ってて「本当の事じゃないけど寓話として」語ってる人もいるのだそうです。

 迷惑な話だ。

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