応援コメント

自称進学校と、滅亡へのカウントダウン」への応援コメント

  • 本来、「世界」というものは、過去に生きたさまざまな人々が努力して、人々が共存できるように作り上げた永続的なものです。そこには、かつて生きていた人々のさまざまな努力や想いが、心なしか風景に詰まっているものだと思います。それにもかかわらず、この小説ではそのような「世界」が(一旦ではあるものの)完全に崩壊しようとしています。

    ところが、この小説に出てくる人々は、そのような「世界」が崩壊するという事実について、どこか軽く捉えている、あるいは無関心を装っているように(少なくとも表面的には)思える所があります。これはある意味当然のことかもしれません。共通の伝統文化を今やほぼ完全に失った現代の人々にとって、もはや世界のうちで永続的なものとする「文化」は存在しないからです。街中の信号機も、駅も、交番も、これらすべては何より合理化のために作られたものであり、守るべき伝統文化ではないのです。

    ところが、それにもかかわらず、この小説の文体は、どこか「人々はこの滅びゆく大地をやはり愛している」、そうした暖かさを感じさせる所があると思います。そして、それによって人々は、再び共通の世界のうちで結び付けられるのです。この点については、これからますます明らかになってゆくのかもしれません。この小説の今後に期待したいと思います。