魔族
突き進んでくる魔族に向かって、俺も突進をする。
なんだか、走りやすい。
力がみなぎる様だ。
間違いなくここは酸素濃度も重力も俺のいた世界をよりも濃く軽い。
やり投げの要領で日本刀をぶん投げる。魔族の目に刺さり魔族は悶える。
俺はそのまま突進を続け、途中1m大の岩壁を瓦礫から拾い上げ空中に投げる。
眼前に迫った魔族の目に飛び乗り日本刀を抜く、両脇から詰め寄る魔族の手から逃れるために空中にジャンプする。
「うおっ、思ったより飛べた。」
数mの大ジャンプだ。
「バカなのあいつ!?」
フィーリアは叫ぶ。
「空中に飛んじゃ、無防備だよ。隠れるとこも防ぐものも踏ん張る場所もない!!」
とルージュ。
「いやみろ。さっき投げた岩壁を使って空中に足場作っている。」
「おい魔族。この世界には、テメェごときにしどろもどろするバカばっかだ。だが以後俺がいるんでよろしくな!!!!」
空中に投げた岩壁を足場に一気に魔族に向かって急降下する。
大振りに振った日本刀は魔族の体を一文字に斬り裂いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お前何者よ?」
「なんか戦いやすかった。」
「それどころじゃないわよ!あの岩壁の重さ何キロよ!?走る速度もあの大ジャンプも。魔法なしでどうやって!?」
「まぁ、落ち着けフィーリア。」
レヴァンドフスキがフィーリアをなだめる。
「多分、君持つ武器も関係していると思うが、この世界と君の世界の差異がさっきの結果を生んだみたいだな。」
「そうなると、向こうの世界でフィーリアが肉薄にされたのも納得いくかも。らしくなかったもん」
とルージュ。
「動きずらかったのかもしれないわね。」
「なんにせよ。俺は魔族を倒した。次のステップにもういけるな。」
「そこも謎なんだ。我々が魔族を恐れる最大の理由は奴らの再生力だ。しかし君の剣に斬られたあの魔族は再生できずに死んだ。その剣 解析ができたら我々の戦いの状況が大きく変わるだろう。」
「意味ないこと言うなレヴァ。私達はこの後過去に行く術式を使うんだろう?」
フィーリアはどうやらレヴァンドフスキをレヴァと呼んでるみたいだ。
「あぁ、そうだった。」
「そういえば、その過去に行くってんのはどういうことなんだ?」
「それも長い説明になるが、この世界にはいくつか禁忌の魔術がある。その一つが過去に行く魔法だ。」
「禁忌って。」
「この世界での一番の王家 ロンメル王家。
いわゆるこの都市の王家なんだが、そこが代々守っている一度きりの術式だ。その代わり必要とするのは莫大な時間。800年守り続けて一年前にしか飛ぶことはできない。」
「それはまた、微妙な期間だな」
「あぁ、我々も一年前に戻って何かできるのかと悩んでいたが、状況が変わった。」
レヴァンドフスキは俺の刀を指差す。
「この刀なら、あの再生力をもつ魔王も切れるかも知れない。」
「勝機ありだな。」
「努君、いいかな?」
先ほど隣の部屋に入っていたラングハールが出てきた。
「さっきあなたの世界を覗いたの。そしたら、魔王は倒されてたわ。」
「なんという…。」
レヴァンドフスキは声が出ない様だ。
「要するにお前の世界では一切の再生を許さないほどの破壊力を誇り、あの巨体を一瞬で炭にする兵器があるのね。どっちが魔王だが。」とフィーリアは呆れた様に呟く。
核だな。と俺は心で思う。
しかしそうなると、さらに被害が出たのだろう。
「どちらにせよ俺はお前らについていく。俺の失ったものは帰ってきてやいないからな。」
「その心意気はありがたい。今帰ると言われていたらまずかったところだ。」
「その場合こいつを殺して剣を奪うだけだけどね」
「あ?やんのかチビ。」
俺とフィーリアが睨み合う間に、まあまあとルージュが割って入る。
とりあえず行こうかとレヴァンドフスキに諭され、俺らは過去に行けると言う術式の部屋へと導かれた
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