妖刀 湖水
くぐり抜けた先は、中世の城の一室ような場所だった
部屋を囲む壁にさっきいたメンバーが腰を掛けている。
「来たんだね」
短髪赤髪の女は言う。
「あぁ」
部屋を見渡していると鎧の男と目が合った。
「いきなりで申し訳ないが君の名前を聞こうかな」
「俺の名前は、宵神 努(よいのかみ つとむ)だ。」
「了解。俺はレヴァンドフスキだ。よろしく。」
鎧の男はそう言って俺に握手を求めた。
「私はレ・シュヴー・ルージュ。ルージュって呼んで」
と短髪赤髪の女が言う。
そして、長髪の女はラングハールというらしい。
「おいお前の名前は?」
一通り自己紹介が終えた後も一向に自己紹介をしない金髪チビに催促をする。
「ふん。」
「彼女は、フラートリス・フィーリア。こう見えてしっかりした奴なんだ。許してくれ。」
「こう見えてってなによ!?」
フィーリアは憤慨するが、レヴァンドフスキは気にせず笑いながら部屋を出る。
フィーリアと睨み合いながら俺も外に出た。
そこに広がる景色を見て分かった。
ここは多分この町の城。
そして地平線の先まで続く城下町
町や城の雰囲気はまんま中世ヨーロッパの街並みといった感じだ。
「すげぇ、ここまで広い町は日本でも東京ぐらいじゃないか?」
しかし、決して綺麗とは言えなかった。
なぜなら、そのほとんどが瓦礫だからだ。
「察しの通り、ここは魔王が来た場所だ。」
「そして、ここでワープをさせたの。」
付いてきたルージュが応える。
「この城ごとを魔法陣とし、魔王を出さないように戦っていたので、ワープ先まで気を回せず…。本当にごめんなさい。」と後から来たラングハールが顔を覆いながら俺に謝罪をする。
「これで分かった?私達の世界も酷かったの。お前の世界に対して恨みなんかない。私達も予想外だったのよ。」
フィーリアが後ろの扉にもたれながら俺を悟す。
「理由がどうであれ。俺の世界の惨状はお前らの責任もある。別にもう恨んじゃいないが、あの魔王にケジメをつけなきゃならないのは事実だ。手貸してもらうぞ?」
「あぁ、了解した。」
レヴァンドフスキは申し訳なさそうに答える。
「伝言!!!南東より魔族が一体侵入してきました!!!」
城の下の方で兵士が一人叫んでいた。
「「「「なに!?」」」」
「魔王のせいでこの都市の結界が壊れていたんだわ!」とラングハール
「今行く!」とレヴァンドフスキ
いつから持っていたのか大剣を背中にさして城から飛び降りようとしていた。
「待てよ。俺が行く」
「宵神君!それはダメ!」
ラングハールが俺の手を掴むが俺は振りほどいて、城下町へとダイブする。
「待て!」
レヴァンドフスキの声が聞こえるが知ったこっちゃない。
俺は彼らにも聞こえるように叫ぶ。
「どっちみち、魔族倒せないようじゃ魔王は倒せない!!ここで死ねばそれが俺の運のつき。」
ちょうど降りた先にいた。魔族が。
四足歩行のように地面を這っている。
しかし腕は六本。単眼。
口はざくろの様に大きく開いている。
大きさは鯨ほどはあろうか。
「頼んだぞ。湖水。」
俺は刀に手を置いて目を閉じる。
そして少し刀を抜いて鞘に収める。
キンっと高い音がなる。
金丁。
目を開け100m程先の魔族を見て名乗りをあげる。
「ようよう!我こそは日本は大阪に生を受けた宵神5代目の長男坊!宵神 努!!!俺との戦話、冥土の土産とするがいい!」
魔族は俺の声を聞いてこちらに顔を向ける。
一鳴きした後、こちらへ突進をしてきた。
ゆっくり刀を抜き、呟く。
「と、いってもお前が行くのは地獄か?」
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