異世界道中膝栗毛

エリマキトカゲ

大阪壊滅

-こちらKG-1。現在、怪物は北へ進行中。明日には東京に到達します!!

-こちら防衛庁。愛知県での決戦で食い止めれない場合、米軍の進言により核兵器の使用も選択下に入れる。全軍、最悪の場合に備えろ!!!



無数の瓦礫 燃え盛る炎の中、目が醒める。息がしづらい中、力を振り絞り立ち上がる。

遠くにかすかに見える怪獣の背中を見つめ

「……ばけもの。」

少ない酸素の中、思考が回らずともふと出た言葉。


自分が立つ瓦礫の下には家族が埋まっているのだろう。もう助ける気も起きない。俺も死のう。そう思い俺は近くに落ちていた曽祖父の形見である日本刀に手を伸ばす。


その瞬間、数m先に光の渦が発生した。そこからカラフルな服を来た人が数名出てくる。何か中世のヨーロッパの思わせるような服装だ。

奴らは喋っていた。しかし日本語ではない。

見つめる俺に気づき何か光を俺に浴びせた。

途端、奴らの言葉が分かるようになった。

「ごめんなさい。あなたたちの世界を巻き込む気は無かったの。でも大丈夫。私達が過去に戻って魔王を倒すわ。」

長髪の女が俺にそう語りかける。優しい口調で。

「…あれは、あの怪物はおまえらのせいなのか?」

「結果的にそうなるわね」

横にいたチビの金髪女が呟く。魔王を見つめながら。

「あ?なんだよ。その態度。これどうすんだよ。みんな死んだんだよ。なのにお前らは他人事かのように…」

「こうしたくて私達はワープさせたわけじゃない。私達の世界も危なかったのよ!」

チビの金髪女は俺に向かって苛立ちを見せながら叫ぶ。

「逆ギレかよ。あぁ、いいよ。俺から見たらお前らもあの怪物と同じ敵だ。ここでお前らを殺してやる。並べよそこに。」

息も絶え絶え俺は日本刀を構える。

「ダメ!死んじゃうよ君!」

短髪赤髪の女が俺を牽制する。

知るか。

昔日本刀の使い方は教えてもらったことがある。こいつらぐらいどうってことない。

俺は日本刀を持ち金髪女に突進する。

「バカなやつ!!」

金髪女は俺に向かって紫の火の玉のようなものを穿つ。

意味不明の攻撃にとりあえず俺は刀で切ってみるしか無かった。

すると、火玉に刀が入った瞬間火の玉は割れた。そして切られた火の玉は二つに割れて消えた。

「なっ!!」

よく分からなかったが、間合いを詰めた俺は

再び金髪女に日本刀を振り下ろす。

金髪女は杖のようなもので防ぐがそれも切れる。

「…っ!なぜ!?魔法で強化してるのにっ!」

あと数センチで切れるというとこで、俺に何か重石を乗せられたような圧がかかり

後方に吹っ飛び地面に押し付けられた。

「何者ですか!あなたは。」

先に俺に話しかけた長髪の女がなんらかの力で俺を押さえつけているようだ。

「知るかよ。そんなことより、お前ら絶対許さないからな!!こんな滅茶苦茶にしやがって!」

「それは、、本当にごめんね。でも絶対救うから。魔王は私達が必ず…!」

短髪赤髪の女が俺に深々と謝る。

「どういうことなんだよ…。」

俺はどっと押し寄せる痛みや悲しみで顔を伏せ泣いた。




数分後、怪獣の背中も見えなくなりあたりに静けさが戻ってきた。

奴らは俺を押さえつけた状態で光の渦に入ろうとしていた。

「待てよ!!…あの怪物はお前らが倒す?どういうことだよ。」

「話しても長くなるし、私たちがあいつを倒せばこの未来もなくなりお前のその記憶もなくなる。話しても無駄だ。」

と金髪女

「いいから教えろ!!俺は被害者だ!!」

「いいじゃないか。彼に教えてあげよう。」

先ほどまで口を噤んで後ろに座っていた鎧を着た男が俺にそう言って説明を始めた。


信じることはできないが、こいつらは異世界から来た人間。先までの攻撃や光 会話ができる原因は魔法というものだと。そしてあの怪物は魔王で異世界で暴れ出したのをワープさせたところ、誤って人のいる世界に飛ばしてしまい、確認に来たというところだった。


「で、お前らはこれからどうするんだよ。」

「我々は元の世界に戻り。過去に戻って魔王を倒す。それだけだ。」

「勝機はあんのかよ?」

奴らは黙る。

「大方倒せなくてワープという手を取ったんだろ!?だったらよ…俺を連れていけよ!!」

「は?お前なんかがなんの!!」と金髪女

「うるせぇ!あの怪物と戦えば結果的に死ぬかもしれないが、この刀突き刺すぐれぇでもしないと!!俺は!!今死にたくなる!!!」

俺は吼えた。

もう押さえつける魔法は解かれており、日本刀を握りしめ燃え盛る瓦礫の山で宣言する。

「あいつは俺が倒す。」


「君のさっきの日本刀による攻撃含め、君には戦闘力があることは認めよう。しかしもし魔王に勝ったとしても君が死んでいたら、この世界は助かり君だけがいなくなるが?」

鎧の男は冷静に話す。

「そんな可能性。俺が死んでから考える。」


「…ふん!勝手にしろ!」

金髪女は捨て台詞を行って光の渦に入っていった。

短髪赤髪の女も俺にもう一度どぺこりと頭を下げて通っていった。

「君の好きにするがいい。この渦は五分後に消える。」

鎧の男はそう言って。長髪の女と共に渦へと消えていった。


渦を見つめる。


遠くに聞こえる怪獣の声を聞きながら俺は呟く。


「みんな、待っててな。」


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