第7話 バルセリアの街
雑魚の『
ふぅ!
其が今の俺の実力だ、仕方ない。
俺は、空船を壊し、昔の恋人に似ているルーナちゃんや、スタイル抜群のリナちゃんを苦しめていた、雑魚にお仕置きをした。
目の前には、星の
あぁ、二人とも洋服もたぶん下着も、あの嵐でびしょびしょ、風邪引くぞ。
えっ?エミちゃんの服を脱がすなって!
星の
嫌だなぁ、JK《ジェケー》にそんな事したら、変態だって。
えっ?
変態じゃ無いのって、違う、違う、えっ、その格好がそう見えるって!
・・・そうだよなぁ、格好は大事だ、ビジネスの基本。
星の
さて、どうしたもんか。
俺は、此れからどうするかを考えた。
外が騒がしくなって来たので、あまり時間は無い、
確かにルーナ、リナちゃんは可愛い、しかし、彼等の様子じゃ、あれは軍人さん達だ、此の国の状況が分からないのに、軍人さんと接触するのはヤバ過ぎる。
少くとも、俺の前いた世界はそうだった、俺がいた国の隣の隣の○○○なんか、捕まったら人生が終わってしまう国だった、まぁ当然、此処は逃げるとしますか。
戦艦を持ち上げた俺だ、今の俺なら、俺自身位、楽勝でしょ、其と君達、俺を安全な場所に案内してくれるかなぁ、
星の
うん、有難な。
さてと、まずは、俺自身の姿を消す、星力、『
その瞬間、俺の姿は消える。
納屋の前に集結する『
「行くぞ、リナ」
とリナに小さい声で指示を出す。
リナは分かったと、首を縦に振り、
其を確かめた、ルーナは、『
その合図で、部隊一の力持ち、ロンゲル・ドルサンが一気に納屋の引き戸を引き!
ダーン!
魔導銃を構えたルーナが!
納屋に突入する!!
「えっ!!」
「あん?」
其処で、彼等が目にした光景は、
藁山の上で、気持ち良さそうに眠っている二人!
「居ねえし?其に何でアイツら此処で寝てんだ?」
リナが首を
ルーナは二人に近寄って、生きている事、寝ている事を確かめた後、
「此の二人を保護しろ、其と一応、
と『
リナは
「なぁ、大将、何で、大将はアイツの事、変態って呼んでんだ?」
ルーナは、リナを見ながらちょっと怒った声で、
「アイツは、リナ副将の事を嫌らしい目で見た!!」
えっ?
「何だそりゃ!」
理由を聞いたリナが、もしかして大将って、そっち方面は
と呆れるのであった。
『
うん、実に危なかった。
空の上から、彼等が次々と納屋に入って行くのが見える。
エミちゃんとハル君は置いて来ちゃったけど、まぁ、あのルーナちゃんやリナちゃんが、高校生の彼等に酷い事はしないだろうし。
俺は、一人、納得して、星達が案内する、東にあるバルセリアの街に向かい、
そして、街の廻りの森林に降り立と、案内してくれた星の
星の
俺は、星達が
バルセリアの街は一応、此の国の東の最果ての田舎街だとエミちゃんやハル君が言っていた。
しかし、田舎町とは言っても、俺が前にいた世界の田舎よりは
メインストリートは三十メータはあるが、確かに田舎なんだと思うのは、道の両側には二階建ての白い壁と黒い洋瓦で統一した商店街が有り、その商店街の対面には露店商が乱立している。
前の世界で
売っているのも、千差万別、雑貨、衣服、食料品に食い物、その食い物の良い匂いがあっちこっちから立ち上がっていて、俺の腹が引っ切り無しに騒いでいる。
そして、俺の格好が格好だから、店主や売り子の皆さん達は誰も俺に声を掛けない。
車はハル君が乗っていた二輪か三輪車のような機械がゆっくりと蛇行した中央の十メータ位の
殆どの人は歩いている、うん、実に健康的だ。
メインストリートを更に進むと二百メータ近い、円形の広場になり、広場には五階から六階程度の同じく白い漆喰の壁と黒い洋瓦の屋根の建築物に囲まれている。
広場を囲む建築物の前にも同じように多くの露店商が出店していた。
広場の中心にはかって街のシンボルだったであろう、鐘突搭の残骸が積まれていて、其処には半壊している搭と落下した大きな鐘が有る。
その広場の北側には前面に巨大な
多くの人が、帽子を取って、一礼してから建物に入って行く。
前の世界では教会と鐘は密接に繋がっていたが、此処でも関係が有るのだろか?
興味は尽きない。
南側の建物も、様式は同じ古典主義の巨大な建物で、此方は駅舎になっている、駅舎からは、大勢の人が出てきたり、入っていったりしている。
その後ろには、建物の隙間から、沢山の線路が見えて、前の世界の機関車のようなデザインの列車が絶えず往き来しているのが見える。
成る程、東の最果てだから、此処を中心に東西南北を線路が張り巡らされているのか、
そして、沢山の観光客、ビジネスマンが旅の途中で、此の街に立ち寄るから、あれほどの露店商が建ち並んでいても、彼等は此の街で営業していけるって分けだ。
其に、ちらほらと、俺のような格好をした浮浪者もいるし。
あっ、ヤベエ、あの浮浪者、此方の警官みたいな奴等に引っ張って連れて行かれた。
ヤベエなぁ、俺も早くキチンとしなくちゃ、
先ずは、金作、金作!
『起きたまえ!』
「えっ!」
「はいっ!」
エミリアとハルチカは、自分達に起きろと呼び掛ける声に反応して、
飛び起きた!
其処は、白いベッドが二つ置いてある、白い清潔な部屋、
自分達が、そのベッドに寝かされていた事に気付き、ベッドから出ようと、目の前を見ると、
目の前に白い制服に青紫の髪を後ろで結んだ、瞳の色は薄青、下縁の四角い魔導眼鏡を掛けた、二十歳後半の女性が椅子に座って二人を見ていた。
女性は二人が目を覚ました事を確認した後、
「目が醒めたようだな、まずは此れを飲みたまえ。」
女性は、両手に持つ金属のコップを二人に渡す、
ハルチカとエミリアがコップを受けとると、コップ半分位に泡立ちながら、茶色い液体が出現する。
エミリアが、コップを覗きながら、
「え、ええと、『
女性は微笑みながら、
「あぁ、そうだ、君達の意識がハッキリする薬を錬成した、味は保証出来ないが、効果は保証する。」
ハルチカは驚いて、
「薬の錬成って、貴女は魔導医師、ですか?」
女性は頷きながら、
「あぁ、そうだ、私は、魔導省に所属する軍医で、オリフィア・カーネルセン、そして、此処は、魔導省旗艦『プリンシブァ』の医務室だ。」
二人は、同時に驚いて、
「『プリンシブァ』って!船は!船はどうなったんですか!!」
ハルチカが、
「船が!僕達の街に落下しようとしていて!」
と言うと、エミリアが、
「船が、此方に来て、私達、吹き飛ばされて!!」
オリフィアは右手を上げて二人を止める、
「落ち着きたまえ、船も、街も無事だ、君達は、此の牧場の藁小屋で発見され、私達が保護した。」
二人は、えっ、て顔で、
「藁小屋?」
暫くして、エミリアは、
「スグルさんよ!スグルさんが魔導術で私達を助けてくれたんだわ!」
ハルチカも考えながら、
「小屋に僕達を寝かせた、確かにスグルさんの魔導術なら可能かも。」
オリフィアは二人の会話を聞きながら、
「其処らへんの話しを聞きたい人がいるんだが、」
その時、
ウィーン
医務室の引き戸が引かれ、
長く美しいオンブレ・プラチナの
「オリフィア!二人が目を覚ましたって!」
オリフィアは、彼女を指しながら、
「此の人だ。」
エミリアとハルチカは、座っているベッドから飛び上がり、二人、同時に、
「ルナリィア殿下!!」
「確かに、古代金貨だ、・・・まぁ
相場から十万
「・・・・」
「・・・まぁ、ちょっとは上がってるようだし、十二万
「・・・・」
「・・・・」
「・・・そっ、そうだ、忘れてた、今は、感謝祭で、買取り金額をアップしてるから、十五万
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「分かった、分かった!十八万
俺は、試しに、人指し指と中指を立たせてみた、
「えっ!・・・・二十万!・・・鑑定書も
帰れって言ってるのに、店主は俺に金貨を返そうとしない、
此方が泣き付くのを待っているのか?
仕方ない、他をあたるか。
俺は、指先にほんの僅か
スポン!
「えっ!」
店主が固く握り締めていた、金貨が、店主の手から離れ、
パシッ!
俺の手に戻って来る、
俺が、
「ちょ、ちょっと待ってくだせぇ!旦那様!二十万!二十万で良いので、その金貨を買い取らせて下さい!!」
えっ?
何、此の変わりよう?一体、どうしたの?
俺は、メインストリートから一歩入った裏路地に古物商らしき店を見つけ、試しに一枚の金貨を、その店の店主に見せてみた。
店主は金貨を見て、更に俺の顔をジロジロと見た後、店主は冒頭の金額を提示して来たのだが、なんせ、金の単位も価値も、物価も分からない俺としては、
何も答えられないので、黙っていると以下の展開になった。
一旦、店の奥に引っ込んで札束を手にした店主が戻って来ると、
「いゃーあ、旦那も人が悪いなぁ、魔導師様なら、魔導師様とハッキリと言ってくれないと、
店主は愛想笑いを浮かべながら、
「うちも、協会とは良い取り引きをさせて頂いているんで、是非、その金貨を譲って頂けませんかねぇ。」
と言って、店主は俺に札束を差し出すのだが、えーと、教会?嫌、たぶん、店主が言っているのは、魔導師の協会の方だろう、
店主の様子から、
此の格好で、信用性がゼロの俺だが、魔導師と分かったら、金貨を本物だと信じた。
札束を数えた俺は、二十五枚有る事に気付き、
「・・・二十五枚、有るんだけど?」
店主は笑いながら、
「旦那様、旦那様は、その格好から遺跡の発掘をしてらっしゃいますね、でっ、他の発掘品も、是非、うちに優先してもらおうと思って、五万はサービスす。」
俺は呆れた、遺跡に発掘って、ヤッパ、あの金貨はすっげえ価値が有るみたいだけど、まぁ、当座の金が必要だし、仕方無いか。
俺は、店主に金貨を渡した。
更に、俺はその店で古着のズボンにシャツ、タオル、雑貨と、それらを入れるカバンを購入し、店主に一万
店主は、協会価格で、サービスしてると繰り返して俺に言うので、
「有難う、処で、店主、この髪や髭を短く切りたいんだが、そう
店主は俺がやっとまともに口を
「有りますよ、『
『お洒落屋』に『軍人さん刈り』ってなんちゅうネーミング!
そう言えば、この街の若者は、ハルチカは違ったけど、短髪の刈り上げ君を良く見かけた、
此の国って軍人が偉いの?
軍事独裁国家って事?
俺は、笑いながら、
「しない、しない」
と言って店を出た。
「変態の名前が『スグル・オオエ』、と言う事が分かった。」
「じゃ、此れからは、奴は何と呼ぶんだ、何時までも、変態って分けにはいかないんじゃないのか、大将。」
リナの発言に、ルーナが暫く考える。
エミリアとハルチカに事の経過を聞いたルーナは、
戦略検討室は、改装時にルーナが拘って設置した部屋で
暫く考えた後、ルーナは、
「そうだな、対象者が何者かまだ、我々は知らない、だから、コードネームは『スグル』と呼ぶ事にしよう。」
リナはニヤリと笑い、
「成る程ねぇ、『スグル』、そのまんまかぁ、分かりやすく
ルーナは頷きながら、話しを続ける、
「まず、我々の敵は、伝説の『魔人』、此は、間違いない、問題は
リナは、大将、やっぱり変態に拘るんだと思ったけど、口には出さず、
ルーナは続ける、
「二人の高校生が言うには、対象は魔導士らしい、甘く美味しい製氷菓子を魔導力で作ったと言っている、その事について、オリフィアはどう思う。」
オリフィアは考えながら、
「食べ物のような物を『
ルーナは頷きながら、
「成る程、では『魔人』の一撃で、死ななかった理由は?」
とオリフィアに聞き、オリフィアは、更に考えながら、
「魔導法の『
リナは反論する、
「しかし、先生、ありゃ、人間の喧嘩ってレベルじゃねえぞ、あんな攻撃を防いだ魔導師なんて、俺は見た事ねぇ!」
オリフィアは
「まぁ、私はその時は、医務室に居たから見て無いし、普通の魔導士は喧嘩なんかしないから、『
ルーナは続ける、
「オリフィア、では、二人の高校生を救った力は?」
オリフィアは、再び考えながら、
「其処らへんから、説明が難しくなるのよ、自分の見えない範囲での、同時に二ヶ所の『
更にルーナは、
「最後に、『魔人』を倒した、百本の翠の光剣は?」
オリフィアは諦めて、
「此は、説明がつかないのよ、まず、百本の剣を瞬時に『
ルーナはオリフィアに聞く、
「其はどう
オリフィアは
「簡単に言えば、彼、『スグル』は『
全員が驚愕して、
「『
と同じ言葉を発し、
リナは呆れながら、
「うっ、嘘だろ!あのこっきたない、変態が世界に七人しかいない『
オリフィアはリナを見つめながら、
「違うわリナ、其が彼の限界なら『
全員がオリフィアに注目し、オリフィアは軽く言葉を区切った後、
「彼は、『
ルーナは愕然として、
「『
と呟く。
『
其は、かって三人の大魔導師に与えられた伝説の称号!
その三人の実力は伝説にして事実!
人は、彼等が大陸を消し去る実力を人々に見せつけた時、
彼等を、こう呼んだ、
『
と、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます