第3話 災害
俺は、世界に星の力が
更に、古代史を勉強したエミリアから、俺の故郷、
かって愛した恋人も、友ももういない、俺は完全に戻って来た、分けでは無かった。
貰った、
「わぁ、ヤバイ天気ですね、此れは一雨来るなぁ。」
ハルチカは雨雲で
エミリアは心配そうに、
「雷、くるかなぁ?」
俺は、暗黒の雲海のその先を見ながら、
「ハル、エミちゃんを連れて急いで町に戻れ、雨じゃなく嵐が来る!」
二人は、
「えっ?」
俺は念を押して、
「急げ!」
ハルチカは慌てて、
「はい!」
と言った後、納屋の横に停めてあった赤い二輪車に向かう。
俺はその二輪車を見て、
「ハル、その乗り物は?」
ハルチカは、
「えっ?あぁ、スグルさんは未開の地の出身でしたよね、此れ魔導力の力で自動走行する魔導二輪車、『モーグサルク』って言います。」
やべぇ、バイクだ、俺も欲しい!
ってな事考えながら、
「あぁ、モータサイクルね。」
と俺が分かったように
エミリアが突っ込む、
「スグルさん、モーグ、でサルクね!」
ハルチカは焦って、
「エミ、
「ハル、分かった」、
と言いながら、エミリアは、ハルの魔導二輪車の後部座席にちょこんと、御嬢様座りしてハルチカにしっかりと
エミリアは良く見ると、可愛らしい水色のワンピースを着ているから、バイクに
結構、お洒落して、気合が入っていたのに、
俺がヤッパリ、邪魔したんだ。
二人を乗せた、
ドルルルルルルルルルル
と軽快な音を出し、
ハルチカは、
「其じゃ、スグルさん。」
エミリアは、
「さよなら、スグルさん」、と言い。
俺は、
「あぁ、処で、エミちゃん、デート、邪魔して悪かったな。」
と走り始めた二人に声を掛け、
エミリアは真っ赤な顔して、
「ち、違うわよ!デーーーーート」
と何か叫びながら二人を乗せた
うん、俺もあれ欲しい。
二人が去った後、俺は暗黒の雲海を再び
パラパラパラパラ
天より小雨と、
ビューウウウウウウウ!
穏やかな風は突風へと変わる!
ガラガラガラガラ!
雷雲が沸き起こり、雲海に
来る!
暗黒の雲海を割ってゆっくりと姿を現したのは、
各所から豪炎、爆煙を撒き散らしながら降下して来る、
えっ?船?
船が空飛ぶの!
其は、長さは100メータ、巾は15メータ、両側は開放されていて、前部に四門、後方に四門の大砲がある、白色の巨大な軍艦!
その軍艦が、今、何かと闘い、負けたのか、各所が破壊され、飛ぶ事が出来なくなったのか!
今、此の大地に沈没しようとしていた!
落下していく先は、ハルとエミちゃんが向かった、
バルセリアの町!!!
町に向かって疾走する、ハルチカとエミリアを乗せた
エミリアが叫ぶ、
「ハル!停めて!」
ハルチカは驚いて、
ギギギギギギギギギ!
魔導二輪車が大地と回転の止まった車輪に摩擦が起こり、車輪が悲鳴を上げる。
ハルチカは、後ろを振り替えりながら、
「エミ、どうしたの?」
エミリアは驚愕の表情を浮かべて、
「ハル、見て、あれ!」
ハルチカはエミリアが指す方向を見た瞬間、
その光景に愕然とする!
彼等の後ろの雲海から落下して来るのは、豪炎と爆煙に包まれた白き魔導艦!
バルセリアは西の軍事大国、ウェルド公国の東の田舎町、
かって、千年前の数百の国々が興隆と滅亡を繰り返した戦乱期に、初代、ウェルド太守が、自ら公王と宣言して独立した国、
以来、多くの国々がその国を潰そうと躍起になり、其に対抗する為に国防を国家の第一優先事項とし、
自国の防衛と独立国としての顕示の為に多くの国家予算を注ぎ込み、今では国家の予算の60パーセントが国防費に占めると言う軍事大国となった、
其が西の大国、ウェルド。
軍事大国だからこそ、世界最強の魔導軍艦を多数所持し、その中で灰色の軍艦は
その中で、最新鋭にして最強の魔導艦が、白い船体に黄金のライン、魔導省飛翔騎士団旗艦、『プリンシブァ』
そして、今、爆煙と豪爆をあげて落下して来る魔導船も白い船体に黄金のライン!
『プリンシブァ』!
ハルチカは自らの目を疑う!
何故、国家最強の魔導艦が火を噴いて、僕達の方に向かって来るんだ!
あり得ない!!
ズズズドガンズズドガンズドガン!
船はどんどん巨大になり、やがてその異常音はハルチカ、エミリアにも届く!
エミリアが震えながら、
「あの船、町に向かってる!」
えっ!
炎上している空飛ぶ船は、コーリンの頭上を越えて、ハルとエミちゃんから聞いた、バルセリアって町に向かう。
コーリンは瞳を閉じる、
雨と
コーリンの
二人、死んじゃうのか?
いや、もし、二人があの船に気がついて、町に行かなければ助かる。
・・・
だが、
・・・
だが、彼等の家族も友人も助からない。
・・・
今の俺に出来るのか?
・・・
駄目だ、俺には二人の哀しむ顔が想像出来ん!
雨に、雹《ひょう)に濡れた瞳を開け、コーリン・オーウェルは決意する!
今の俺に出来るかどうかじゃない!
やる!!
只、其だけだ!!!
コーリン・オーウェルは両手を水平に上げて星に願う!
星よ!星達よ!!
俺に、俺に力を貸してくれ!
星が!
星達が!
ブァアアアアアアアア!
コーリンの両手は
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
天からは千を超える
星は渦を巻きながら、燃え上がる空船を囲む!
ズゥオオオオオオオオオ!!
コーリンは叫ぶ!
「いっけえええええええええ!」
ハルチカが叫ぶ!
「皆に知らせなきゃ!」
ハルチカが再び、
ザァアアア!
ガラガラ!
ガンガンガン!
暴雨が
エミリアはハルチカに
エミ!
駄目だ!
今、町に行けば、僕達も巻き添えになる!
そしたら!
エミリアは!
ならば、僕一人でも町に知らせに!
エミリアがハルチカと離れまいと更にきつく彼に
グゥアアアアアアアア!
暴風が二人に吹き付けた瞬間、
二人の上を爆煙と豪炎を噴き上げている魔導高速巡洋艦、『プリンシブァ』が二人の上を通過し、
ハルチカの心に絶望が
えっ!
其は、正に、奇跡の光景!
ブゥアアアアアアアアア!!
天は翠に輝き、
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
暗黒の雲海を割りながら、天から!
百を超える流れ星が!!
更に星は降り注ぎ!!
落下する白き魔導巡洋艦を中心に渦巻き状に集まる!!
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
降り注ぐ流れ星は千を超え、
巨大な光の渦は、ゆっくりと船を持ち上げる!
「グゥアアアアアアアアア!!!」
コーリンは右手に
ちっ、情けねぇ!
額に脂汗が浮かび!
かって大陸をも持ち上げた、此の俺が、お舟、一隻も動かせねぇのかぁあああよぉおおおおお!!
コーリンは痺れて、震える右手を左手で無理矢理、押さえ付け!
上半身事、右手を大きく降り回す!
その動作と重なるように、
降り注ぐ星の渦で持ち上がった、空飛ぶ船は、爆煙を上げながら、バルセリアの街の上空で、
バガガガガガガ!!!
一番高い、街の中心にある、
ギシィギシィギシィギギギギギギ!
船腹が
大きく、
円弧を描くように、
大きく、
回転し、
コーリンは叫ぶ!
「よっしゃ!!!」
船は船首を、コーリンがいる牧場の方向に向け、
「はぁああああああ!!!」
コーリンはゆっくりと右手を自身の体に向かって引き寄せ!
船も高度を下げなから、
広大な牧場に接近する。
ハルチカとエミリアは、荒れ狂う暴風雨の中で奇跡を見ていた!
今にも、バルセリアの街に落下する寸前の魔導艦が、翠の光の渦により持ち上がり、
そして、街の上空で百八十度回転する魔導艦!
二人は言葉を話す事も出来ず、只、その奇跡を見続ける!
ギュワァワアワワワワワワ!!
暴風雨を切り裂きながら、
ズガァアアアン!
爆発と、
ドガアァアアン!
暴発を繰り返しながら、
再び、彼等の、僅か十メータ上空を通過した瞬間、
ブゥワアアアアアアア!!!
「キャア!」
バシッ!!!
エミリアが吹き飛ばされ、
バン!!!
ハルチカは魔導二輪車を蹴って、
ガシッ!!!
エミリアを空中で受け止めながら、必死に抱き締める!
二人はそのまま吹き飛ばされ、
落下する魔導巡洋艦が噴き上げる気流に巻き込まれ!
荒れ狂う暴風雨の中で回転している二人に、魔導巡洋艦を持ち上げていた、星の光の一部が、
彼等、二人に気付き、光は船から離れ、爆風の中で
その光は暖かく、
その光は優しく、
ハルチカもエミリアも、
その瞬間、
全ての心配事も、全ての不安も消えて、
二人は安心して、光の
豪炎による豪爆を繰り返している空飛ぶ船は、着実に高度を下げ、
広大な牧場の端の時点で、高度五メータ、
「よしっ!」
コーリンは自分の胸に持ってきた、右手の握り
その時、落下する飛行船の廻りで渦を巻いていた、
スパーァアアアアアンン!!
一瞬、船から離れ、
「はぁあああ!!!」
コーリンの掛け声に答えるように、星の光は
ガシッ!!!
コーリンが開いた右手を、再び握り締めた瞬間、
ヒューン!ヒューン!ヒューン!
離れた星が一斉に艦内に飛び込む!
その間、僅か十秒、
炎上する空飛ぶ船と大地との距離、五十センチ!
大地との距離二十センチ!
星は
距離十センチ!
噴き上げるエネルギを!
吸収した瞬間、
大地との距離ゼロ!!!!
ガガガガガガガガガガガガ!!!
バキバキバキバキバキバキ!
牧場の柵を破壊しながら、
星により、豪炎の炎が沈火した船は、
残された煙のみを吐きながら、
ズガガガガガガガガガガガッンンン!
慣性で動いている船体も、その船により削られている大地との摩擦で、
ゆっくりと、
コーリン・オーウェルの前で、
その、ボロボロになった大きな着艦ハッチのある船腹を
ピタッ!
止まる!
ガクッ!
コーリンは大地に膝を付き!
ハァハァハァハァ、
肩で息を付き、
「ふぅ、今の俺には
コーリンは笑いながら、目の前で着艦した船を見ると、
船腹の着艦ハッチには、数匹の翼のある竜の死骸を乗り越えて、
白い制服が
その集団の中で陣頭指揮を取っていると見られる女性、
コーリンは立ち上がり、彼女をハッキリと見る、
その人は、
白い制服の上に青い胸当て、ロングスカート型の青い腰当てを装着し、
光輝くオンブレ・プラチナの
俺は愕然とする、
その姿、形はかって俺が愛したその人、
『
俺は思わず、口にする、
「・・・ル、ルーナ!」
向こうも俺に気付いたのか、大声で、
「民間人!此処は危険だ!逃げろ!!」
えっ?危険?・・・大丈夫だって、火は星達が消し止めたし、一体、何言ってんの?
俺は気にせず、彼女を確認しようと船に近付くと、
彼女は慌てて、「化け物だ!此の船には化け物がいるんだ!逃げろ!」
えっ?化け物って、
ってビックリしていると、大地に着艦した船内から、
ドガン!ガガガガガガ!ガキン!ガキン!
銃撃戦や剣撃の音響が拡大して聞こえてくる!
・・・
一難去って、また一難!
何だかなぁ、
と呆れて、風は収まり、雷雨から小雨に変わったバルセリアの西地区の広大な牧場の中心に、呆れて立ち尽くす、
コーリン・オーウェルであった。
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