第2話 出会い
あぁ、腹へった、くんくん、良い
あの世界の母が笑ってる。
そうだ、俺は何処に行っても闘い続けて来た、
まるで、闘う事が俺の宿命だったように、
闘いは俺に果たされた呪いなのか?
そんな俺に、どの世界の母も泣いていた。
闘い傷つき、敗北していく俺を見て泣いていた。
御免な、母さん達、
でも、どの世界の母さんも、飯は旨かった、うん、弁当を此のバスケットに入れてくれたんだね、母さん。
えっ?
バスケット?
「ち、ちょっと、ハル、舌入れたでしょ。」
舌?
「少しだよ、エミ、少し」
少し?
「それって、早く無い?」
早い?
「普通、普通、皆してるって、エミ」
してる?
「そうなのって、ちょっと、あっ!ハル!キャ!」
えっ?
「すっ、すっごい濡れてる、此れなら出来るよね、エミ」
出来るって!
まさか!!
ブワッツ!!
コーリンは藁屑を巻き上げながら、藁山の中から飛び出し、
「ちょっと待て、お前ら!!!」
コーリンは右手を前に出しながら、
目の前の二人を止める!
「わあああああああああ!!!」
「きゃああああああああ!!!」
コーリンの目の前にいた二人は、突如、藁山の中から現れた浮浪者のような彼を見て腰を抜かし、驚いて悲鳴をあげた!
赤毛のそばかす
「きゃあああああ、痴漢!変態!!変質者!!!」
「違う!!!」
コーリンは慌てて、胸の内ポケットから金貨を出して、二人に見せながら、「違う!俺は怪しくない!!ほら、金持ってる、なっ!普通の大人だ!!!」
と、分けわかんない言い訳して、
赤毛っ
更に、
「キャアアアアア!!!変態が変なの出して、私の体、狙ってる!!!!」
「違う!!!!!!!!」
あぁ、我らが変態、コーリン・オーウェルの叫びが納屋中に響き渡る!
どうなる変態、コーリン!
「って、違うから、落ち着いてな!」
そう言いながら、一生懸命、両手を下に振りながら、二人を落ち着かせようとするコーリン、
腰を抜かした二人のうち、背は百七十前後、優しそうな顔の、髪は黒く、パッチリした黒い瞳、少年と青年の中間くらいの男の子が、怯えながら、
「はっ、はい!」
その隣の背も歳も同じくらいで赤毛をツインテールで
コク、コク、
と首を振り、
コーリンは自分を指しながら、
「
男の子は、
「はっ、はい!」
コーリンは更に協調しながら、
「良いか、
二人は、コクコク!
「其でな、後から来た!君達が!変な事始めたから!!
男の子が、不思議そうに、
「変な事って、
コーリンは頷きながら、
「そうだ、不純異性交遊はい、えっ?
男の子は金属のカップを持ち上げて、
「僕達、魔導術で、宿題の
コーリンは呆れながら、
「こっ、此処でか!」
「そっ、そうよ、だってハウエルさんから、新鮮な卵とミルクを貰ったのよ!早く食べたいじゃない!お昼のデザート!」
コーリンは慌てて、
「じゃ舌入れたってのは?」
「ハルが味見って言ってカップに舌入れたから!」
コーリンは目を見開いて、
「カップに舌!、ってじゃ、早いってのも!」
「まだ、
男の子は、
「御免な、エミ、皆もあれくらいで味見してるから、」
コーリンは信じられないって表情で
「じゃ、じゃ、君がキャって言ったのは!」
「ハルがカップをふざけて、私の頬に着けるから!」
コーリンは、
「濡れてるってのは!」
男の子は当然って顔で、
「勿論、カップの表面ですけど?」
「もしかして、出来るって言ったのは!」
二人同時に、
「
コーリン、土下座して、「御免なさい!」
「で、何、作ってるのか見せて見ろ。」
まだ、ちょっと疑っているコーリンだった。
コーリンは男の子が持っているカップを取り上げて、中を覗く、
確かに冷たいし、中はミルクと卵がグチョグチョして僅かに氷らしき物がある、
コーリンは呆れて、
「何だ、此の
男の子は、ガッカリして、
「
「し、仕方無いじゃない、
一気に捲し立てて、コーリンを責める!
コーリンはため息を付きながら、
「俺のせいってか、わかった。」
二人はコーリンが怒ったと思い、
「ひぃ!」、「キャ!」
と
コーリンは二人を無視して、カップに
うん、昨日より調子が良い、
更に、
コーリンは考えながら、右手の
確か、空気を入れながら攪拌させて生クリームを作るんだったよな、砂糖は牧草の草花の蜜を
と、何を作るのかを決めた瞬間!
コーリンが手にするカップが半透明な翠色に輝き、何百の細い輝線光がカップに回転しながら入り込む!
シュウワアアアアアア!!!
カップから生クリームが吹き上がり、
二人は驚愕して、
「えっ!」、「わぁあ!」
と奇声を上げた。
コーリンは更に考える。
そして、熱を星に捧げれば、
カップの生クリームが蒼く輝き、
よし、その調子だ。
生クリームが徐々に氷始め、
ストップ!
生クリームは白い冷気を放ちながら半固形化し、
コーリンはニヤリと笑う。
よし!完全に氷にしちゃ勿体無いし、出来た!
コーリンは、ポカーンと口を開けて驚いている、二人を見ながら、
「え、ええと、名前は?」
男の子が、
「え、あ、はい、ハルチカ・コーデル、バルセリア高校、魔導科、一年
「エミリア・ドルネッサ、同じく、バルセリア高校、魔導科、一年
コーリンは二人に、
「じゃ、ハルチカ、エミリア、食べる?」
と言いながら、手に持つ、
二人は同時に、
「はっ、はい!」
ハルチカは、一口
「すっ、凄い!」
エミリアもアイスクリームを口に入れた瞬間、
「あっ、あっ、甘い!其に、甘さが口の中で弾けてる!」
そりゃそうだ、星に集めさせた草花の蜜糖と星のエキス入りだし、
コーリンは、ニヤリと笑いながら二人に、
「おい、俺にも、少し残しておいてくれよ。」
ハルチカは嬉しそうに、
「はい・・・」
そして、困った顔で、
「ええと、あのぅ、御名前は?」
コーリンは、自己紹介してなかったっけ、と思いながら、
「あっ、すまない、俺は、俺はコーリン、コーリン・オーウェル、宜しくな。」
二人、同時に、
「えっ!」
そして顔を見合わせる。
俺、?
ハルチカは困った顔で、
「そのー、あのー、其って、」
困っているハルチカの横から、エミリアが、怒りながら、
「オジサン!フザケテんの!逸んな偽名を名乗られて、私達が貴方をコーリン様って呼ぶと思ってんの!頭がおかしいんじゃない!」
えっ!
フザケテるって?
偽名?
ハルチカは慌てて、
「エミリア、ほら、此のオジサン、旅の役者さんかも、コーリンの役をやってるから?」
エミリアはハルチカを睨んで、
「ハル、違うわ!此の人、あたしたちをからかってるのよ!」
からかってるって、
マジか、
一体、
俺の名前って、此の世界でどうなってんの?
まぁ、取り合えず、此の場は、
「御免な、確かに、冗談だ、俺はスグル・オオエだ、スグルさんと呼んでくれ。」
ハルチカはほっとして、
「すみません、冗談が分かんなくて、でっ、改めて、此の氷菓子、有難う御座います、スグルさん。」
と律儀にお礼を言い。
コーリンも、
「アイスクリームって名前な。」
と菓子の名前をきちんと訂正させる律儀なコーリンだった。
エミリアもコーリンの本名を知って安心したのか嬉しそうに、
「本当に此の
コーリンの口にパンとハムとサラダのミックスした甘く、ちょっと酸っぱく、其でいてハーブの爽やかな味が広がる。
あぁ、俺は一体、どのくらいの間、食べ物を口にしていなかったんだ。
「モグ、モグ、
エミリアはパンをかじりながら、
「ハルって結構、大食いだから、沢山作ったんだけど、ハル、足りるの?」
ハルチカもパンを頬張りながら、
「うん?あぁ、大丈夫、スグルさんからアイス貰っちゃたし。」
コーリンは、頭掻きながら、
「本当に
エミリアは、変な名前で言うコーリンに、
「スグルさん、此れはバンデゥタって言うの!」
コーリンは、
「うん?パンだろ?」
エミリアも、其処は拘り、
「言い、バン!ね、そして、デゥタ!」
コーリンは食いながら、
「だから、パンでした、でしょ?」
エミリアは、
「違う!」
変な事に拘り始めた二人に困ったハルチカは、話題を変えようと、
「処で、スグルさんて、職業は魔導師だったんですか?」
とコーリンに話しを振り、
「ん?、そのさっきから良く口にする、魔導って何なんだ?」
と不思議そうにハルチカに逆に聞き返し、
「えっ、スグルさん、魔導術を知らないんですか!」
とハルチカもエミリアもビックリ。
コーリンは困ったなぁ、って顔して、
「ほら、俺って遠い東の国から来た旅人だろ、此の国の固有の言葉は分からないんだ、
エミリアとハルチカがお互い顔を見合せどうするって顔をお互いにして、
エミリアがハルチカにあんた説明しなさいよって顔したので、ハルチカは諦めて、
「スグルさん、魔導って此の国だけじゃなく、世界中で普通に使われているから、僕達には当たり前の事で、其を、いざ説明するとなると、凄く難しくて、・・・」
コーリンは、ちょっと心配になって、
「世界で当たり前って、ちょっと大袈裟じゃ無いのか?」
とハルチカに聞き、
ハルチカは首を振りながら、
「本当だよ、スグルさん、だから、スグルさんの出身地って、スグルさんが魔導を知らないなんて、その場所は文明と切り離された凄い辺境なんだね。」
コーリンは頷きながら、
「あぁ、自慢じゃ無いが、すっごーい、辺境だ、でっ、魔導って何なんだ?」
ハルチカは、
「すっごーく簡単に言うと、空気中にある
コーリンは驚いて、
「
ハルチカは頷きながら、
「そっ、
えっ!
「ちょっと待て!二千年前って、そう言えば、今は
コーリンは慌てて、ハルチカに今日の日を確認し、
ハルチカは、えっ、て顔して、
「
コーリンは唖然として、
「
「その
ハルチカは驚いて、
「えっ、そうなの、僕、選択に古代史取らなかったから。」
コーリンは愕然とする。
滅んだ!
二千年前に!
俺達の
何故だ?
俺は、
俺は救えなかったのか、
皆を、
「スグルさん、スグルさん、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
ハルチカが心配してコーリンに声を掛ける。
コーリンは直ぐに首を振って、
「ああ、大丈夫だ、続けてくれ、ハルチカ。」
ハルチカの説明は続く、
魔導、其は世界に
機械により
魔導学の初歩は中等科から始まり、高校で工と術の専科に分かれる。
魔導術の基本は
ハルチカとエミリアは、その魔導回路を作成する魔導術の初歩を勉強中の高校生であった。
其はつまり、世界から
説明であった。
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