冬
寒さで目が覚めてしまった。
壁掛け時計のアンティークな短針が指す数字は、つた草の絡みついた、四。
「……う、ん…」
布団を被っていても冷気が染みてくる。寝返りを打ってどうなるものでもない。チラリと見える明滅に思わず顔を顰めた。
しかたなく身体を起こし、桃色のカーテンへと手を伸ばす。
窓の外に、まんまるな光の玉がひとつ。月のような色味のそれは、何かしら必死さのようなものを感じさせた。
その後ろ。高い高い天空には、オリオン座がきらきらと輝いていた。
じっと外を眺めていたら、急に視界がぼやけ始めた。目をこする。瞬きをくり返す。しかし、ぼやけはさらに白みを増していく。
窓から目をそらした。時計の方をみる。相変わらずの早朝四時だ。
また窓へ視線を向ける。
相も変わらず、窓の外には白銀の世界が広がっていた。
しかし満月も、オリオン座も、そこにはいなかった。
少女は春だった。 水硝子 @water_glass
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