24.腐る体

いずれは腐る体で生まれた命が 死ぬ前に氷漬けにされることを望む


生きていた時の眼を湛えたまま この世界をまだ見ていようとする

生きていた時の耳を帯びたまま この世界をまだ聞いていようとする


くだらないその意志で せっかくの氷も融けてしまうかもしれない

そうして思い出したように体は腐り始め 埋まっていた眼から光が失せ むき出しの耳の中では音が止む

その後 消えかけていた命の灯火がふっと――


世界にはまだ陽が射している

見える眼がある 聞こえる耳がある もう一度この世界で生きてみようと思える

生まれながらにして死ぬ運命でも それが生き物の定めならと 前を向いてそれを受け入れるしかない

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