ファンタジー小説として、とても丁寧に完成された一作です。
よく練られた世界の空気と、物語の軸にもなる神話が本当に素敵で、昔から好きだったタイプの本格的な異世界もの。こういうの求めてたんですよ……!
でも世界の雰囲気とか世界の成り立ちとかだけじゃなくてね。
一番魅力的なのはキャラクターなんです。
特に壮大な世界の運命に対して、真正面から向き合うニーナさんの男前っぷりったらもうね! ああいう強気と優しさとが共存しているヒロインって見ていて胸がスッといい気分になる!
ヒロインだけではないんです、その周囲を取り巻く皆キャラクターがリアルで、見ていて楽しい。
「わかるぜ、お前の気持ちはよーくわかる」って言ってやりたくなる御仁や、三歩離れた場所から微笑ましく応援してやりたい御仁、望み薄だけど内心で「気付け……気付け……っ!」って念を送りたくなるお嬢さん。
正直これ少女漫画とかで出たらそっちでも読みたい。
人間関係の面白い所を描くのが本当に巧みです。
ガラス細工のように綺麗に組み上げられたファンタジーの世界と、共感できるリアルなキャラクター達の人間関係を楽しみたいならぜひ!
この物語を読み始めた時、私は「なんて緻密で美しい世界観だろう!」と思いました。1冊のファンタジーを単行本で読んでいるような感覚。
私はすぐに、この物語にのめり込みました。
これほどまでの世界観をどうやったら生み出せるんだろうと思えるくらいに、緻密で生々しくて、でも美しさが至る所に散りばめられていて、この世界に行ってみたい!と思えるほど。
妖精といった人間ではない存在の描写は美しく、街並みの描写や国の特徴は詳しく、とても重厚感のある作品でした。
宿命に翻弄される少女、恋心に悩む青年、秘密を隠し苦悩し続ける青年、様々なキャラクターたちがこの世界の中で懸命に生きているさまが、とても面白くて、「これからどうなるんだろう……そんなことしちゃうの!? あー!!!」なんて悶えることもしばしば。
人間関係も読んでいて、はらはらドキドキ、「この続きはどうなるの!?」とやきもきすること間違いなしです。
色んな種類の美男美女が出てくるのも楽しめます。
気づいたらどんどん次の話に進みたくなっていて、『白金のイヴは四大元素を従える』の物語にハマってしまいました。
是非オススメしたいファンタジーです。