あたしのおなかを満たしなさい

「麗奈嬉しい♪ 思いっきりエロく撮ってほしいなぁ☆」

「えっ? エロく、、って。いっ、いいの?? まっ、任せといてよ。麗奈ちゃんとはもう何回も撮影してるし、どっ、どんな写真だって撮ってあげられるよ」

「やぁ~ん。ノマドさんの写真、あたし大好きだから、エロいの撮られるのは恥ずかしいけど、お願いしまぁ~す」


そう言ってお愛想笑いを浮かべたあたしは、両手の二の腕で胸を挟み込み、大きく会釈して微笑む。

ギュゥっと寄せられた胸が、こぼれそうになるくらいに溢れるのを、ノマドは喉をゴクリと鳴らして見入ってる。


そうそう。それでいいのよ。

あたしのおっぱいには、どんな男だって敵わない。

このふくらみのまえじゃ、だれもがひれ伏し、敬う。

そうよ。

あたしは女神。

みんなあたしを崇め奉りなさい!


ごっついレンズのついた大きなカメラを構えたノマドの前で、あたしは挑発するようなポーズをとる。

胸を抱え上げながら、腰をくねらせ、お尻を突き出したり、両腕を上げて脇を見せながら、おっぱいを強調するように突き出したり、壁に腕をついて背中をのけぞらせ、スカートを少しだけたくし上げて、ガーターストッキングのへりに指をかけみたり。。。

エロの女神と化したあたしの回りを、ノマドはのたくり這いずり回りながらシャッターを押し続けた。

額には脂汗をかいちゃって、『はぁはぁ』と息を荒げてる。


なんか、、、

みっともなくて哀しいくらい、可愛い、あたしの信者。

今日のアフターはこいつでいいやぁ。


「ノマドさんはイベントのあと、どうするの?」


プヨプヨしたノマドの腕をぎゅっと抱きしめ、あたしは訊いてみた。

こうするとイヤでもおっぱいが押しつけられて、その谷間にノマドの腕がめり込む。

もう、最高に気持ちいいはず。

耳まで真っ赤にしたノマドは、腰を引いてパンツのポケットに手を突っ込み、モゾモゾやってる。

あ。チンポジ修正してるんだ。

キモッ!

ごまかすように額の汗を拭い、ノマドはアタフタと訊き返してきた。


「ど、ど、どうするって、、、 どうしてそんなこと訊くの?」

「え~、だって、、、 あたし、なんだかおなかすいちゃったし」

「えっ?! じ、じゃあ、なにかおっ、おいしいもの、おごってあげよか?」

「ほんとに? 嬉しい♪」

「フッ、フレンチとかでいい?」

「大好き」

「じ、じゃあ、イベントが終わて、会場の前で待ってて。クルマ回してくるから」



 更衣室で白いロリータ服に着替え、いつものツインテールに結びながら、あたしは化粧を直して会場の外に出た。

自慢のごっついベンツのSUVを会場のエントランス前につけて、ノマドは待ち構えていた。

あたしの姿を見ると、うやうやしく助手席のドアを開けて招き入れる。

イベント帰りのレイヤーやカメコたちが、あたしたちを一瞥しながら通り過ぎていく。

大きなカメラバッグを抱えたヲタっぽいカメコたちはみな、レースアップで強調されたロリータ服の胸や、パニエで膨らんだ短いスカートをジロジロ眺め、そのあとで羨ましそうにノマドを睨みながら去っていく。


ノマドめ。

クルマをわざわざ、人目につきやすいエントランスにつけるなんて。

『これから超可愛い巨乳レイヤーとふたりだけでアフター』ってのを、アピールしたいのね。

浅ましくも、かわいいヤツ。


クルマに乗り込もうとしたとき、遠くにヨシキの姿が見えた。

あたしたちに気がついて、呆れた様に見てる。

ヨシキに見せつけるように、あたしは優雅にベンツのバックシートに身を沈めた。


ふふん。

思い知った?


あんたのご自慢の「TOYOTAbB」なんてしょせん、3ナンバーのベンツに敵うわけないのよ。

確かにヨシキは神カメラマンだしルックスもいいし、なによりエッチのテクニックは最高だけど、経済力やさしさは、ノマドの方がはるかに上。

女の子を満足させてあげるには、巨根なだけじゃだめ。

やっぱり男の魅力って、結局はお金よね~。


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る