先にシャワーを浴びなさい

反射的に、あたしはパツンパツンに張ったミノルのズボンのふくらみに手を伸ばし、軽く揉みしだきながら甘い声でささやいた。


「ね。いっしょにシャワー浴びようよ。綺麗になったらミノルくんのここ、いっぱい舐めてあげるから」


ズボンの上からとはいえ、キモオタのこんなモノ触るのもイヤだけど、ミノルはおなかを見せた犬のように、おとなしくあたしのなすがままになり、アホ面を晒した。


「じゃあ、ほら、脱いでw」


そのままミノルのシャツを脱がし、ベルトをはずして、パンツごとズボンを引っ張り下ろす。

もわんと酸っぱい汗の匂いが広がり、モジャモジャの毛にまみれた芋虫みたいなモノが、根元がおなかの肉に埋もれながらも、天井に向かって元気よくそそり立ってる。

おえ~~~っ。


「麗奈ちゃんも、、、 いっしょにお風呂に行こうよ」


恥ずかしそうに前を隠しながら、ミノルもあたしの服を脱がそうしてきた。

その手から逃げるようにして、あたしはベッドを出てソファに座り、ポーチからコンパクトを取り出して言った。


「先に浴びててよ。女の子はいろいろ準備が大変なんだから」

「そうなんだ、、、 じゃあぼく、先に入っとくよ」

「うん。あたしもすぐ行く」


バスルームに入っていくミノルを見ず、コンパクトをのぞき込みながら応える。

ふぅ、、、

とりあえずピンチは脱したわ。



“シャーーーーー”


すりガラスのドアを隔てた向こうからは、水を流すシャワーの音がかすかに聞こえてくる。

あたしったら、、、

いったいなにやってるんだろ?

いくらヨシキへの当てつけって言っても、童貞キモデブサヲタのミノルなんかとエッチしようとするなんて、、、

どうかしてた。。。


こうしてひとりになってみると、自分のやってることのバカバカしさに気がつく。

そうよ。

ヨシキを懲らしめてやるなら、こんな間接的なやり方より、もっと効果的な手があるじゃない。

バッグからスマホを取り出し、あたしはブクマしてる掲示板を開いた。




301:C.N.;名無したん 2012/8/18/17:20 ID:kjyuKJXl50

  レイープされそ。だれか助けて!!!!!




ひと言そう書き込むと、あたしはすばやくブラのホックを留めて乱れたブラウスを直し、ポーチをバッグに仕舞いながら、ベッド脇の電話をとってフロントを呼び出した。


「すみません。女性だけ先に出ま~す」


そう伝えると、怪しまれることもなく、ドアのロックは解除された。

靴を履いてドアノブに手をかけたとき、ソファの上に置かれた紙袋が目に入ってきた。

ミノルが買ってくれたフォトショにペンタブ。

せっかくだからもらってあげよう。

バイバイ、ミノル。

あなたは(どうでも)いい人だったわね。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る