もっとガンガン攻めてきなさい

 今、あたしは、ホテルの密室のなかに、ミノルとふたりでいる。


なんか、、、

はずみで来ちゃったけど、、

まぁ、、、

いっか。

ムシャクシャしてたし。。。



しゃれた淡いピンクの部屋の真ん中に置かれた、大きなベッドのヘリに、わたしはペタンと座り込んだ。

壁や枕元のダウンライトの明かりが、仄かなムードをかもし、ふんわりと包み込むジャズのBGMが心地いい。


「こっちに座ってよ」


どうしていいかわからない様子で、ベッドの横に突っ立ってるミノルに、あたしは隣を指さしながら言った。


なんだかもどかしい。

あたしのこと好きなら。

ほしいなら。

もっとガンガン攻めてきなさいよ!


 遠慮がちに、ミノルはあたしの隣に座った。

その瞬間、ふかふかのスプリングでからだが沈み、思わず肩が触れ合う。

ミノルは顔を真っ赤にして、あさっての方向に顔を向けた。

ドクンドクンと、心臓の高鳴りがこっちにまで聞こえてきそう。


なんか、、、

可愛いじゃん♪


いかにも『女慣れしてます』っていうヨシキを見てきたせいか、こういうウブな反応って、案外新鮮でいいかも。

構ってあげたいような…

悪戯いたずらしちゃいたい気分になってくる。


わざとらしくミノルの顔をのぞき込みながら、あたしは訊いた。


「ミノルくん。あたしの事、キライ?」

「きっ、嫌いなわけないけど、、、」

「じゃあ、、、 しよ♪」


あたしの言葉に、ミノルはおずおずと両手を腰に回してきた。

ぎこちない手つき。

興奮で、鼻息が荒くなっていくのがわかる。

ドーテーくんにいきなりわたしの巨乳は、刺激が強過ぎるわよね。

遠慮がちに抱きしめていたミノルだったが、突然限界に達したように、押し倒してきた。


「あんっ。ミノルくん。せっかちね」


軽くたしなめるあたしの甘い声は、逆にミノルを興奮させたみたいだった。

あたしに覆いかぶさっていたミノルは、無骨に唇を重ねてきた。


「んぐ、ぅんんん…」


ヘタクソなキスに息が苦しくなって、もがく。

そんなあたしに構わず、キスもそこそこにミノルは全身に唇を這わせ、ブラウスのボタンをはずすと、天井に向かって突き出したふたつの大きなふくらみを、欲望のおもむくままに揉みしだく。

まるで飢えた野良犬ね。

だけど、おっぱいに顔を埋めて恍惚としてる姿は、意外と可愛いかも。


「あん。はうっ、、」


思わず甘い声が漏れる。

男の本能がそうさせるのか、童貞のくせに、ミノルはあたしの敏感な部分を探り当て、どんどん攻め込んでくる。


「もうっ。慌てないでよ。もっとゆっくりと、、、 はんっ」


そう諌めたものの、快感には勝てない。

ちょっとした刺激で、思わず声をあげてしまう。

あたしのよがり声に興奮してきたのか、ミノルはさらに息を荒げ、ベロベロとおっぱいを舐め回す。

唾液がまとわりついて、なんか気持ち悪い。

感じないわけなないんだけど、いまいち気分が盛り上がらない。

余計なとこに気が散っちゃって、エッチに集中できない。


「ダメっ!」


指先がショーツのなかに滑り込んできて、ヘアに触れた瞬間、あたしはキツく脚を閉じ、ミノルの腕を掴んで叫んだ。


やっぱりヤだ!


ガマンできるかなとも思ったけど、やっぱダメ。

ミノルの鼻息の荒いとことか、口臭とか、タラタラ流れてくる額の脂汗とか、生理的に無理っ。


こんなキモデブサヲタに、あたしの大事な部分を弄られるなんて。

このまま流されてエッチしたら、あとできっと後悔する。

だいたいあたしは、ヨシキに仕返しするためにミノルとデートしてるんだ。

ミノルもヨシキと同類。

あんな人でなしのヨシキと、親しくしてるのが悪い。

ミノルに屈辱を与えるのは、ヨシキに与えてるのと同じこと。

恨むならヨシキを恨みなさいよ。


「えっ? ど、どうして?」


さらに鼻息を荒げて、ミノルはあたしを見た。

なので、適当な言い訳をする。


「だって、、、 そこ、洗ってないもん」

「ぼっ、ぼくは構わないよ」

「あたしは恥ずかしいのっ」


そう言ってあたしは、バネのように勢いよくからだを起こして、スカートを押さえた。

おあずけを喰らったような恨めし気な眼差しで、ミノルはあたしを見上げる。


ここでキレられたら、元も子もないし、、、

なんとかうまいこと、逃げる手を考えなきゃ。


つづく

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