第8話 人紹介

 さて、ここで少し余談を挟もうと思う。

 内容は、僕の周りの人との関係についてだ。

 そんなのどうでもいいと感じるかもしれないが、聞いてみてほしい。


 まず、僕と奏汰について。

 前にも言ったが、僕と奏汰は親友である。幼稚園から一緒で、ずっと隣にいるイメージだ。その頃の奏汰はかなり人見知りでいつも僕の後ろに隠れていた。それが、小学校の三、四年生辺りのころから見られなくなり、立場が逆転した。そして僕以外の人とも普通に仲良くするようになった。少し寂しいものではあったが、それは別に構わない。問題は、その時からだんだんチャラくなっていったということだ。本人によると、その頃ある人と出会って、それで自分の中の何かが変わったのだという。ちょっと気に入らない。

 中学校に入ると、チャラさがなくなってきた。疲れた、というのが本人の弁だった。

 喋り方や見た目はいろいろ変化があった奏汰だが、人格の核心部分はさほど変わっていない。だから今も僕らは仲良しでいられるのだ。


 次はひまりさん。

 僕はすっかり忘れていた……というか存在を知らなかった気がするが、同じ小学校にいたらしい。入学当初からしばらくは黒髪おさげの眼鏡っ子で、とても地味な子だったらしいが、中学年になったあたりから、変わっていったそうだ。六年生になるころには髪も染めて、一緒にいる友達も派手な子に変わったとか。確かに、どこかのクラスに派手な女子グループがいるというのは聞いたことがあった。

 何故僕がこのようなことを知っているかというと、奏汰に聞いたからだ。

 奏汰とひまりさんに変化があったのも同じ時期だし、何か関係があるのかもしれない……なんて思ったりもするが、本当にそうだったら嫌だし、何より自分たちでそんな想像をされるのは嫌だろうから、考えないでおくことにする。


 そして大宮君。

 大宮君は中学一年生の二学期に転校してきた。

 始業式の日、僕はどんな子が来るのだろうと期待に胸を躍らせていたが、大宮君の登場によりそれはあっけなく終わった。

 赤っぽく染めた髪に鋭い眼光。転校初日だというのに制服を大胆に着崩していた。細身ではあったが身長が高く、怖そうな人、という印象を持った。

 同じクラスだと知った僕は、絶対に自分から話しかけないようにしようと心に決めたのだが、まあ、結果オーライということで。

 そのあとひまりさんと仲良くなったのは納得といった感じだったが、本田さんと仲良くなったのにはびっくりした。

 本田さんは普段、ほかの女子と行動していることが多い。しかし、かなりひまりさんと大宮君といる時間も長く、僕はいよいよ本田さんがどういう人なのかわからなくなってきた……。

 あ、ちなみに大宮君は頭がいいらしい。

 

 本田さんについては、前に話した思い出の通りだ。もう一度は話さないでおく。

 

 僕は昔も今も地味な方で、同じような人としか話してこなかった。だから今、絶対に話すことがないだろうと思っていた人たちと関わりを持っている。それも、かなりいいペースで、だ。

 では、これからも特に問題が起きませんようにと願って、この余談を終わりにしよう。


 明日は本田さんと話せるといいな。

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