第6話
『この部屋にある全てのアイテムが皆さんの手に渡った様なので、デスゲームを開始いたします。それでは皆さん、お持ちしている道具を回収箱に入れてください。その中からランダムで皆さんの手に渡ります。自分のものが自分に返ってくる事はありませんのでご安心ください。自分の手元にプレゼントがすべて届いたら、私の合図で一つずつ開けて頂きます。食品がある方はその場で食べてください。中にはプレゼントを用意していない方がいるので、数が数個変わりますが、まあそれはそれで。という訳で皆さん何が当たるか分からないプレゼント交換スタートです。』
ルールが無理やりすぎるが、きっとこれに従わないと殺されるかもしれないから全員おとなしく従った。君は少し怒った顔をしていたが、ここで感情を出すのはふさわしくないと判断したのか、不満そうな顔をするだけでとどまっていた。
僕に来たのは箱など、色々来た。正確に言うと7つだろうか。全員に全て行き渡ったらしく、僕が最後の箱を受け取ったときに、無機質で無感情な声がまた部屋に響き渡った。
『皆さんに全て行き渡ったようですね。それでは、皆様一斉にひとつずつオープンして下さい。では一つ目開けてください。どーん!』
全員が無言で開ける。僕は箱に何故かハンカチが入っていた。特に爆発などはなかったが、チョコやクッキーが入っていた人もいて、声の指示通りそのまま食べていた。特に異変はなく、普通の味で食べた人は嬉しそうに食べていた。
『まだまだ序盤なので、ここで死なれてしまったら楽しくないですしね。さあでは早速2つ目開けてしまいましょう。』
少しつまらなそうな声で、そう告げた。少し飽きが見えているようだった。凄く腹が立つが、ここで感情をあらわにしても、状況が悪化するだけだ。ここに居たらこういう常識さえ見失いそうになる。早くここから出ねば。
全員がまた静かに開ける。僕は今度は包装紙に包まれた小箱だった。これの中身は見なくてもわかる。チョコレートだ。さっき澪が箱に入れてるのを見ていたのでこれは分かる。
一口、食べてみたら普通のチョコの味がする。これはセーフだと考えていいのか。
だが、このチョコレートはミルクチョコレートで僕の好きなダークチョコレートではない。ちなみに、ブラックチョコレートは数種類呼び方があり、僕の言っているブラックチョコレートは一般的にビターチョコレートと呼ばれる。他に、スイートチョコレートやプレーンチョコレートという呼び方がある。
乳製品が入らない、カカオマスが40~60%のチョコレートの事を指している。
要約して言うと普通のチョコより苦めという事だ。
また全員無事なようだ。また無機質な無感情な奴の声がするのか。どうせなら可愛らしい声にして欲しかったものだ。
『まだ大丈夫なようですね…まあ必ず何か起こりますしね。その時を楽しみにするとしますか。それでは3つ目オープン』
少し悔しそうな、そして何も起こらないことに対しての苛立ちを見せるような声だった。この声は無機質なだけで、感情はあるようだ。最初の時は一ミリたりとも感情を感じない声だったが、次第に感情が露になってくる。
再び全員が各々開けたとき、ボンっと何かが爆発する音が聞こえた。洸のいる方向から音が聞こえてきて、ほぼ全員が同じタイミングで洸の方を見る。
やはり爆発したのは洸の開けた物のようだ。洸自身は特にけがをした様子はないが、洸の手は煤で真っ黒になっている。洸はただ茫然と自分の手を見ている。手の方をよく見ると、一枚だけクッキーが残っている。
手が真っ黒になる爆発の中、クッキーが無事なのに違和感を覚えた物の、洸は迷わずにそのクッキーを口へ運んだ。
さっきまで呆然と自分の手を眺めていた人間が取るような手の速度ではなかった。まるで何かにクッキーを食べるように操られているかのように。
洸は自分の行動にびっくりしたような顔のままクッキーを頬張った。いや、正しくは無理やり食べさせられたのか。とにかく本人の意思で食べたわけではないようだ。
びっくりした表情のまま、口に入ったクッキーを噛む。すぐに目が真っ赤になり涙が見る見るうちに溜まっていく。顔も真っ赤になり、それどころではなく体まで火照ったように真っ赤になり、おもむろに口を開けたかと思うと赤い何かを吐き出した。炎のようだ。洸が少し顔を動かすだけで部屋の装飾を焼いていく。
こちら側に炎が来ることはなく、そのまま洸を飲み込むかのように炎が洸を包み込み、消えていった。
目の前で起こったことが飲み込めず、ただ全員呆然としていた。
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