3

     6


 ミズキは頬に一筋の涙を流しながら目を開けた。


 薄白い光に目を慣らしながらゆっくりと体を起こす。頭が働いていなくても、いつも通りの一日のルーティンは身体が覚えている。

 いつも通り朝食を食べて、歯を磨いて、制服に着替えて、学校に行く準備を済ませて玄関を開ける。

 駅にはいつも通りの光景。通勤通学で人の波ができているのも変わらない。

 今日は一人でゲートをくぐった。すこし寂しさを感じながら電車に乗り込んだ。

 いつも通りの朝だけど、ちょっと変な気がする。

 それはたぶん、あの夢のせいだ。彼女の死に際しかなかった。ミズキは夢で見た光景に解釈を与えることをしなかった。

 学校についても彼女の姿は見えなかった。少しほっとした。ミズキはいつも通りつまらない授業を聞き流した。しかし、授業中、先生の話など耳に入ってくるはずもなかった。ざわざわと、不穏な気持ちだけが湧いてきた。

放課後、家に帰る気なんて起きない。足は自然と保健室へ向かった。

「こんにちは、先生」

「やあ。今日もご苦労様。お菓子でも出してあげよう。そこに座って待っていて」

「あの、怖い夢を見たんです」

 サユキ先生は腰を上げたままその体制で少し固まり、再び座りなおした。

「どんな夢か聞いてみても構わないかしら」

 ミズキは今朝みた夢を話した。路地裏でハルが死んでいる場面。冬の下校時に歩道橋で眼を抉りだしたハル。宝石になって静かに死んでいった彼女。

ミズキは話しながら泣いていた。

 話を聞いた先生は表情一つ変えなかった。先生は大人だから、感情に支配されるほど弱い人間じゃないのかもしれない、と思った。

 眼だけが幾分か和やかになり、先生は口を開いた。

「君は、自分とは何だと思う?」

「自分ですか?」

「そう、自分。君が見ている夢は君自身によってつくられた物でしょう。ならば、自分についてよく知っておく必要があると思わないかしら?」

 それはそうだ。あの夢は現実世界のハルとは何ら関係がない。自分の心が生み出したものなのだ。

「私は……考えて……行動している……今の意識にいるのが私だと思います」

 つっかえながらなんとか言葉にする。自身はなかった。先生は腕を組んで頷いた。

「うん、半分正解。残りの半分はわかるかしら?」

「それは……もしかして、無意識っていうことですか?」

 ビンゴ、そう言って先生は相好を崩した。

「人っていうのはね、生まれて、自分の心を育てながら生きていく生き物なの。それは自分の選択でもあるし他人から強要された選択かもしれない。けれどそれでも人の心はどんな形であれ育っていくのよ」

 先生の口調はだんだんとやさしさを帯びてきている。まるで子に語り掛けるような柔らかさを感じる。

「だけど、人の心には必ず影が付きまとうの。その影は、その人自身の抑圧された価値観、選ばなかった道。それらは選択のたびに切り捨てていったものだけど、心の奥底にはちゃんと残っているの。そしてその人は無意識の住人だから、君が無意識に面するときにひょっこり現れることになる。今の君はその抑圧された感情と対峙している。その感情が何なのかは私にはわからないけれど、君は自分を見失わないようになりなさい」

 そう言って再び立ち上がり、お茶を入れてくれた。

「……私、どうしたら良いですか」

 ぽつりと漏らした声は想像以上に弱弱しく響いた。

 先生は目を細め、いっそう低い、鋭い声で言った。

「目を背けないこと。何があっても逃げるな」

 ミズキはあの恐ろしい夢に立ち向かわなくてはならない、先生はそう言ったのだ。それはミズキにとって戦いであり、地獄であった。

 ハルが死んでいるところは見たくない。ハルの綺麗な髪を、ハルの綺麗な顔を、ハルの綺麗な眼を殺したくはない。強く感じた。

「ありがとうございます」

 何がありがたいのかミズキにはわからなかったがそう言って保健室を出ようと立ち上がる。

「最近物騒だから気を付けるのよ。昨日も殺人が起きたらしいから」

 え。思わず声が漏れた。

「あれ、知らないの。昨日海岸で殺人が起きたの。被害者は男で、名前はカナメタツミ。数年前失踪したピアニストってことは知ってるかな」

 あっ、とミズキは声を上げた。昨日ハルの家で聞いた名前だ。

「死体は……」

「タツミ君の死因は頸動脈を切られての出血多量によるものよ。変わった点と言えば左手の人差し指と中指と薬指の先が切られていた事だけど、これは断面の状態から考えて、死亡時とは時間に開きがあるらしい。これじゃピアノ弾けないわね」

「指先……」

 うん──先生は壁にかかった時計に目をやった。

「ああ、もうすぐ六時だ。日が落ちる前にそろそろ帰りなさい」

 ミズキは保健室を後にした。

 帰り道を歩いていると、車道の向こう側の歩道に見覚えのある白いワンピースを着た人が、ミズキと逆方向に歩いていた。あれはハルだろうと思った。

 目が悪いミズキはなんとか目を細めてその人を見ると、確かにハルだった。

 ──なんだか。

 浮かない顔をしている。目が悪いからそう見えてしまうのだろうか。最近のハルはなんだかとても悲しそうである。

 声をかけづらくて、ハルが通り過ぎるのをずっと見ていた。

 すでに日は落ちかけて、あたりは暗くなり始めていた。帰る足を速めた。

 

     7

 

 静かな映画を見ていた。いつも見ている映画である。

突然電話が鳴りだした。ハルからの電話だと直感した。

 着信画面を見ると、確かにハルという名前が表示されている。今日は緊張していない。

 携帯端末を手に取り、電話に出た。

「やあミズキ、いまから海岸に来ないか。今日はいい満月だよ」

「わかった。いいよ」

 ミズキは外に出る準備をする。見ていた映画を消して時計を見るとすでに夜の九時を廻っていた。

 一日ハルと話さなかっただけで猛烈にハルが恋しくなっていた。

 玄関を開けるとむわっとした湿度の高い空気がミズキを包んだ。月明りが周囲を照らしていた。

 海岸へ行く途中に街灯に蛾が止まっているのを見かけた。猫が路地裏へ駈け込んでくのを見かけた。寂れた歩道橋を見かけた。どれもなぜか懐かしい思いがした。

 見晴らしのいい小道を走っていると、周りになにもないためか月が少し大きく感じる。

 ミズキはそれらを見て思う。夢と現実の境界は実は曖昧なのではないか。

 アニメや漫画の夢はロマンチックであまりにも現実離れしたものであるというイメージがあるが、なら、満月の光を受けて走っている自分という現実はどこが夢ではないのか。

 ミズキは早くハルに会いたかった。最近の浮かない顔をしたハルが脳裏にちらつく。

 一心不乱に駆けた。

 十分ほどで砂浜に着くと、裸足で海水に足を浸している一人の少女が、月を見上げていた。

「ハル」

 ミズキが声をかけると、白いワンピース姿の少女は後ろを振り向いて

「やあミズキ。見てごらんよ。今日はいい満月だ」

 そう言って再び前を向いた。

 後ろから見ているミズキには、月の逆光で陰っている彼女の後ろ姿がとても綺麗なものに見えた。

 ミズキは彼女を見た。

 月の青白い光が彼女を照らしていた。ワンピースがその光を受けて、かすかに発光しているような、そんなふうだった。

 ハル──そう呼んでミズキは彼女の横に立った。

完全な円の形をした満月はとても大きく、ほんのりと柔らかく強い光を放って周囲を照らしている。そのおかげで今は明かりがなくても十分明るかった。

明るいのに星空は見えていた。都市の明るさでは星は見えない。優しい光だ。

 ハルの横顔を見た。まつ毛が綺麗だし、顔が綺麗だし、瞳が宝石のように綺麗だ。

今のミズキにとってハルは「綺麗」という概念そのものだった。それは自分を卑下しているからそう見えるのかもしれないし、そうでないかもしれないけれど、とにかく綺麗だと感じた。

ハルが髪にブローチをしているのに気が付いた。小型で、満月のように丸かった。

「昨日さ、タツミがここら辺で死んでいたのを知ってる……」

 知ってる、そう答えるとハルは無表情で話を続けた。

「それ見つけたのは、実は僕なんだ。昨日ここへ来ていたら偶然死体を見つけたんだ。僕は驚いて、数分間立ち尽くしてから警察に電話した。怖くてしょうがなかったから」

 そう言うハルの脚が震えていることを、ミズキは気づいていた。

「それ、嘘でしょ」

「嘘……」

 ハルが虚をつかれたようにこちらを振り向いた。

「なんで、そう言えるの」

「ハルのことが分かるから」

 実際は確信などなかった。なんだか嘘である気がしたのだ。しかし、振り向いた時の仕草で確信した。

「どうして嘘を吐いたの……。嘘嫌いじゃなかったの」

「それは……嘘が好きになったから」

 そんなわけがない。そんなこと絶対にありえない。ハルは誠実だから。ミズキはいつもより強気な声で言った。

「それも嘘でしょ。だって、ハル泣いてるよ。本当は嘘なんて大嫌いだけど、嘘をつかなくちゃいけないほどつらいことがあったから泣いてるんでしょ……」

 ハルの目から一粒の涙が垂れて砂に落ちた。すぐに染み込んで消えた。涙が光を反射して、ハルの眼は宝石のように光っていた。

「うん。嘘なんだ」

 ハルの目から涙が溢れ出る。

「僕はとても逃げ出したい」

 涙を手で拭う。

「なにがあったの、ハル……」

 僕が昨日したことを話す、そう言ってハルは話し始めた。

「僕は昨日この砂浜に来ていた。ここは僕が好きな場所だ。落ち着きたいとき、よくここに来る。そこに、カナメタツミが来たんだ。彼は精神的に不安定だった。右手に小型のナイフを持ってふらふらと僕の方に近づいてきた。怖かった。彼は僕を力強く押し倒して、ナイフを振り上げた。殺されると思った。だけど、ナイフは振り下ろされなかった。僕は彼が泣いていることに気が付いた。彼の涙が顔に垂れてきた。よく見るとナイフを握る手の指は先がなくなっていて、彼は残った指で不器用にナイフを握りしめて葛藤したように顔をしかめていた。

『どうして泣いているの』

 僕がそう訊ねると、

『人を、殺してしまったんだ』

 と答えた。

『幼馴染だったんだ。よく僕のピアノを聞いてくれた。彼女はとてもやさしかったんだ。昔からとても仲が良かった。だけど、一時の感情で彼女を殺してしまったんだ。僕が国際ピアノ・コンクールに出るって言った時も、彼女はとても喜んでいた。すごいって。本番、見に行くからねって。

 だけど、本番で僕は逃げたんだ。たくさんの観客の前で情けなく僕は逃げたんだ。人の眼が怖い。視線が僕を突き刺して皮膚をチクチクと刺してくる。コンクール後から、僕は周りの人間が僕を見ているような気がする。僕はそれから家に引きこもりがちになった。僕は自分が嫌いだった。LensとFilmを着けて、強制的に幻聴や僕を見てくる視線を消そうとした。機械から見せられる映像を本物だと信じ込もうとしたんだ。

彼女はそんな僕を励まそうと、家に何回も来た。僕のピアノがもう一度聞きたいって、本心でそう言っていたんだ。だけど僕は頭がおかしくなっていたから、それは嘘に違いない、僕を衆目に晒して辱めようとしているに違いないってそう思い込んでしまった。やられる前にやらなきゃ、そう思って夜中、近くの公園に呼び出して殺した。近づいて最初に片目をナイフで刺すと、彼女は目を抑えながら暴れだした。僕は彼女を押さえつけながら何回も胸のあたりを指しまくった。彼女が動かなくなり、安心して顔を見ると、もう片方の眼が僕を見ていたんだ! 眼球の黒い部分が僕の方を向いていた! 彼女の目のLensで僕のしたことをデータ化して、絶対に消えない証拠になってしまうんじゃないか。そう思ってもう片方の眼を何回も刺した。

 周りは暗かったから、そのまま逃げだした。ずっとこの海岸の岩陰に隠れて、一人で考えていた。果たしてこれは現実なのか。もしかしたら僕はLensにクラッキング攻撃を受けてよくない映像でも見せられていたのではないかって。

 でも確かに手にはナイフを握っている。彼女の胸を刺したときに手に帰ってきた弾力も覚えている。なのに僕は現実だと認めたがっていない。これは現実なのか虚構なのかわからない!』

彼はそう言って僕にナイフを握らせてきた。

『僕は頭がおかしいんだ。もうこんな世界は嫌だ。僕を』

 殺してくれ、そう彼は言った。

『それが逃げることでも』

 え……、彼は汗と涙と鼻水を交じり合わせた顔で僕の目を見た。

『君は人殺しだ。君が自死をすることで、その罪から目を背けることが、たとえ逃げることでも、君はそう望むのか』

 彼は迷いなく頷いた。

『構わない。僕は死にたいんだ』

 わかった、僕はそう言って彼を逆に押し倒して、首のあたりによく狙いをつけて、彼を殺した」

 ミズキの声が震えている。ミズキは黙って聞いていた。

「彼は僕と同じだった」

 どういうこと……、ミズキが尋ねる。

「彼は人を殺してしまった現実に耐え切れなくて、現実から目を背ける選択をした。彼は現実が嫌いで、それが夢か虚構であってほしいと望んでいた。僕も同じだ。僕も人殺しだから」

「それって……ハルも人を殺したっていうこと……」

 僕は母親を殺したんだ! 叫ぶように言ってハルは自分の手を見た。

「僕は母を殺した。タツミも殺した。二人の命を奪ったんだ。僕は逃げたい。これが夢の世界なら、って何回も考えた。誰も見ていなくても、僕の眼が見ていた。僕はもう耐えられないッ」

 ハルがポケットから何かを取り出した。それは月光を反射してミズキの眼を照らした。

 ナイフ──! 

 おそらくはカナメタツミの首を切ったものだ。

 ハルは自分の首に刃先を押し付けようとしている。彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。

「だめ!」

 ミズキはとっさにハルの腕を掴んだ。二人の腕の力が拮抗し震えている。

「僕は逃げたいんだ。一人で二人分の死を背負い込むなんてできない!」

「ふざけないで!」

 ミズキがもう片方の手でハルの頬を強く叩く。ミズキは自分が泣いていることに気が付いた。

 ミズキはハルを守りたかった。タツミを殺したのは殺すことを懇願されたからだ。母のこともきっとやむを得ない事情があったに違いない。

 ハルの腕がだらりとぶら下がる。ハルの手から優しくナイフを取り去って足元へ放り投げた。

「僕は、どうすればいいんだ。もう家族は誰もいないんだ。一人ですべてを背負い込むなんて、僕は嫌だ」

「聞いて、ハル」

「僕は」

「私が」

「もう、何も見たくない」

 ──守ってあげたい。

 ミズキはそう言いかけて、ハルの言葉を心の中で何度も繰り返した。

 何もって私のことも? 私はハルにとって助けにならない? 私はハルにとって不必要なのか? ハルにとって私は邪魔?

 ミズキは思いっきり力を込めてハルの体を強く押した。

 うっ……、と低い呻き声を漏らし、ハルは砂浜に倒れこんだ。

「見たくないの……? ハル。私はハルを守ってあげたいのに。私は、ハルが好きなの……」

「ミズキ……」

 倒れたハルの体にまたがり、顔を近づける。顔に涙が垂れてハルの涙とまじりあう。

「私を見て」

 ハルのすらっとした腕を顔に寄せる。白く艶めかしい腕。強く噛みつく。ハルの声が漏れた。刻み付けるように顎先に力を込める。口を離すと、付いた歯形から何本もの糸を引いた。

「やめて」

「嫌」

 次に首筋に顔を埋めた。乱れた髪と人形のような皮膚が扇情的だった。首筋にも歯形を着ける。先ほどよりも大きな声。

 ミズキはこの背徳的な行為に没入していた。ハルの体は最初から無抵抗だった。ミズキはハルに歯形をいくつも残していった。まるで獣がマーキングをするかのように刻み付ける。欲望に突き動かされる。ミズキはこの行為に興奮していた。母性と背徳の混交だった。

満月は夜空低くでミズキの背徳を見ていた。ハルの体に刻まれた歯形の窪みに貯まった唾液は、一つ一つの箇所で丁寧に月光を反射して、ハルはてらてらと濡れている。

 ここには時計がない。ハルもミズキも時計を身に着けていない。ねっとりと抵抗を受けるように、時間はゆっくりと進む。空気は湿気をもち、二人を包み込んでいる。

ミズキは行為にのめり込んでいた。脚や腕、首、服から露出している部分にはたくさんの歯形が付いた。

 お互いが疲れていた。ハルの涙は既に乾ききっていた。

 ミズキはハルの眼に惹かれていた。それは一種の所有欲であり、性欲であった。ミズキはハルの目を指で大きく開かせた。

「きれいだね」

 ミズキは狂っているのだ。ハルの眼球は夜空に浮かぶ満月と、青白い光を閉じ込めていて、まるで宝石だ。

「欲しい」

 ミズキが呟くとハルは再び目に涙を貯めた。そして、その口元は少しだけ──笑っていた。

「君にならあげてもいい」

 ハルの言葉を聞いて、ミズキは近くに落ちていたナイフを手に取った。

 眼にナイフを近づける。ハルの顔は恐怖に染まっている。ハルは涙を流す。涙は線となって耳元に垂れていく。

 ミズキはうっとりとそれをみて、悦に入っていた。

 切っ先がハルの眼球に近づく。まつげが触れる。近づくたびに自分の口角が上がるのがわかる。

 その時、ナイフの表面に映った自分の顔が目に入った。

 ぴたりと手が止まる。体が熱くなってじわじわと汗が噴き出る。

 そして、ハルの眼を見た。鏡のように、反射して、自分の姿が写り込む。

 その顔は、夢で見たあの顔とそっくりだった。

 路地裏の奥で笑っていた影の自分。どす黒くとても厭だった。

 醜く恐ろしいと思っていたそれは、今の自分である。ミズキはぞっとしてナイフを力強く海の中に放り投げた。

 ハルは怖いに違いないのだ。

 どうしてこんなことになっているのか。自分が惹かれたのはハルなのか、それともハルの中にある眼球だけなのか。

「ごめん」

 ごめんなさいという言葉が頭を支配する。それはハルを殺そうとしたことに対する謝罪であったし、そんな厭な自分が生まれてしまったことに対する謝罪でもあった。

「ごめんなさい、ハル」

 ミズキは何度も謝ろうとした。しかし、涙がぼたぼたと溢れてきて、声はぐにゃぐにゃとおぼろになってしまった。

「ミズキ」

 ハルの腕がミズキを抱き寄せる。

「ありがとう」

 耳元でそうささやくハルの声は優しかった。

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