第6話
オムライスが来るまでに問題を解いてしまおう。
『 HPBZEVMFV2011 』
アルファベットの羅列に数字か。ヒントはなし。うーん。さっきはカエサル暗号だったな。それなら次は、アトバシュ暗号かレールフェンス暗号か? どっちも千夏が知ってるとは思えないけど、もしかすると多分千夏の友人であろう髪の長い女が詳しいのかもしれない。
数字はわからないけど、とりあえずアルファベットだけ当てはめてみよう。
アトバシュ暗号は、AからZまでのアルファベットをAにはZ、BにはY、CにはXという風に逆さまに対応させた暗号だ。
えーっと、対応表出るかな。
スマホで検索してみる。
あったあった。
その表を元に、さっきの『HPBZEVMFV』を対応させてみると。
『SKYAVENUE』になった。『スカイアベニュー』か! ここから数分の高層マンションだ。2011は部屋番号ってことか? あれ? これって個人の家だよな? 友達か誰か……それこそ髪の長い女の家になるのかな。
とにかく! 今度こそ会えるってことだよな!
ちょうどそこへオムライスが運ばれてきた。
美味しかったが、ゆっくり味わうのももどかしく、急いで掻きこむと店を飛び出した。
タクシー乗り場はマンションがあるのと反対側だ。渋滞も考えたら、歩いた方が早そうだ。
そこで待ってるんだろうから、走る必要はないのに、心が急いてつい走ってしまう。マンションに着くころには肩で息をしている始末。
ふぅっと長く息を吐き、呼吸を整えてからオートロックに部屋ナンバーを押す。
……応答がない。
え? まさか留守ってことはないよな? トイレとか? ちょっと手がはなせないとか?
もう一度押してもやっぱり出ない。
そこへ中から人が出てきてドアが開く。ホントはやっちゃいけないけど、直接部屋まで行かせてもらおう。
部屋が近づくにつれ、変に緊張してきた。
まず最初になんて言ったらいいんだろう。彼女はなんて言うんだろう。
どきどきしながら部屋の前に着くと。
貼り紙がしてある。いや、貼ってるのは例の封筒だ。
えええええ!! ここまで来てまた!?
がっくりきてしゃがみこんでしまう。
わかった。とことん、つきあってやろうじゃないか!
気合いを入れて立ち上がり、封筒を開ける。
んん? 何か様子が違う。今まで全部、印字されていたのにこれだけ手書きだ。
『CGHEEEOANNSSTEPTRRI3AAT0LLA5L』
しかも長いぞ? これを解読しろって? これを解いたらドアを開けてくれるのか? 待ってろよ。すぐに解いてやる!
あれ、これは簡単そうだぞ。四の倍数の文字の筆跡が違う。誰かが書き足したようだ。
ということは……。
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