第4回
スマホに映し出される戦士召喚の項目。
俺をここに召喚した雑な神の説明では、王のランクを上げるにはチャリオットの強化が不可欠らしい。
チャリオットを強化するには単純にたくさんの戦士を仲間に引き入れる必要がある。
戦士はダンジョンや街で
召喚魔法は、王と契約してチャリオットに加入してくれる戦士を世界各地から選出し、この城に召喚してくれるのだ。
ちなみに召喚するには召喚石というアイテムが必要で、この召喚石は契約者の願いを一つ叶えてくれるらしい。その願いを叶えるかわりに、王と契約することになると。いわば契約金のかわりになるものだ。
まぁその願いが叶うというのもどこまでのものかはわからないが。
オリオンが俺と契約する時に願った事は、お腹いっぱいになりたいらしい。
召喚される時、空腹すぎて死にかかっていたそうだ。
バカバカしい理由だと思ったが、この世界では普通に飢餓で死ぬことだってあるんだ。笑ってはいられないし、空腹で死ぬというのは斬首で死ぬよりも辛いことだろう。
ちなみにだが、サイモン四兄弟も召喚魔法によって呼び出された戦士達だ。
本来ある程度強い戦士が来るらしいが、強さもピンキリであり、当然強い戦士より弱い戦士の方が圧倒的に母数が多い。その為、サイモンみたいなちょっと弱めの戦士が召喚される確率の方が高くなる。
「オリオンにばっかり負担かけるのは酷だから、戦える戦士がほしいな……」
虎の子で召喚石は一つ残ってはいるのだが、四連続で
この召喚石、最初は簡単に五、六個手に入ったので沢山手に入るものかと思いきや意外とそうでもない。高難易度のダンジョンや、他の王を倒すなど特定の戦果を上げる必要があり、駆け出し王の俺にとっては簡単に手に入る代物ではなかった。
「これでオリオンが帰りたいとか言い出したら終わりだな」
王には戦士を帰還させる方法があり、命令に従わない、反逆の見込みがあると思った場合は戦士を召喚した場所に帰還させることができるのだ。
戦士が勝手に帰ってしまうということはできないが、戦士から帰りたいですと言われてしまうと、雇用主たる王としてはどうすることもできない。
最悪無視するということもできるのだが、女の子を無理やり戦わせるクズにはなりたくない。
俺はふとスマホの画面を見ると、あなたのポイントと書かれた項目に「!」マークがついていることに気づいた。
「なんだこれ」
選択してみると、画面に【あなたが稼いだベスタが一〇万を超えました。お祝いに召喚石を一つプレゼントします】と書かれていて、俺の召喚石の所持数が一から二にかわる。
「おっ、ラッキー。こんなこともあるのか。そういや一万稼いだ時も貰った気がするな」
てことは次貰えるのは一〇〇万稼いだ時か? 遠すぎない?
「戦力が欲しいし、棚ぼたな石だし回してみるか」
そう決めて俺は手入れしていた武器を全て片付け、召喚部屋へと向かう。
城の地下にあるガチャの間と呼んでいる部屋には、巨大な召喚陣が常に光り輝いている。
召喚陣以外には何もない部屋で、王が存在する城には必ずこの『ガチャの間』があるらしい。
召喚陣にスマホをかざすと画面に召喚を行いますか?【はい】【いいえ】と選択肢が上がってきたので、それに【はい】と返答する。
スマホの画面に表示されていた召喚石の残数が二から一に減ると、どのような仕組みなのか召喚陣からゴゴゴゴと音をたてて俺達の世界にあったガチャガチャマシーンの超巨大版が現れる。
四角い透明なケースの中に大量のカプセルが入っており、手前に回転式レバーと景品口がとりつけられている。
毎回この演出いるのか? 直接戦士がでてきたらいいんじゃないのか? と思いながらも、現れたガチャガチャマシーンのレバーを握る。
ちなみにガチャガチャマシーンからはカプセルが排出され、出てきた色によって戦士のレアリティが異なっている。
下から白がN(ノーマル)、銅がR(レア)、銀がHR(ハイレア)、金がSR(エスレア)、虹がSSR(エスエスレア)となっており、全部で五段階のレアリティにわかれていて、カプセルの色が派手になるほど強い戦士が出て来る仕組みだ。
なんとかオリオンの助けになる戦士来てくれ。それがダメなら話し相手になってくれる女友達みたいなのでもいい。
願掛けしながらレバーを一回転させると、掌の上にカプセルがポトリと落ちる。
さて、何レアが出たのか……。せめて白だけは回避してくれと思いながら視線を落とす。
「ん……なんだこれ?」
俺は手の中で七色に輝くカプセルを呆けた目で見やる。
「キラキラと光る虹……。虹?」
あれ虹って何レアだっけ? と思い二度見する。
「虹……。虹だーーーーーーーー! SS来たああああうおあああああーーーーー‼」
あまりの驚きに絶叫しカプセルを落としてしまいそうになった。
待て待て、落ち着け俺。神が言っていた。このカプセルの状態は、まだ戦士と交渉中なのだと。
呼び出される予定の戦士が契約に応じるならカプセルは開くし、応じないならカプセルは開かず召喚石は元に戻る。
開くのか……開かないのか……。ちなみにオリオンはこっちが開ける前に勝手に出てきた。
俺はカプセルをゆっくりとひねってみる。
「か、硬い……開かない……」
召喚拒否かと思われたが、召喚拒否されたならこのカプセルとガチャマシンは消え、召喚石も払い戻されるはず。しかしガチャマシンは消えていないし、払い戻しもされていない。
「となると戦士が契約するか悩んでるのか?」
きっと戦士の前には召喚ゲートが開いており、その状態でどうしようか考えているのだ。ということは来てくれる可能性は十分ある。
俺はカプセルを召喚陣の上において、正座しながら開くのを待った。
「これは緊張物だな……。SSRの戦士か、敬語使った方がいいんだろうか……」
そんなくだらないことに悩みつつ、一〇分くらい経過して、いい加減長すぎない? と思っていたところ虹色のカプセルから七色の光が全方位に漏れた。
あまりの眩しさに俺は手で視界を覆い、光が収まった頃に指の隙間からカプセルの様子を覗き見る。
そこには濃い煙の中にうっすらと人の影が映っていた。
これは契約成立した奴では?
はやる気持ちをおさえ、煙よ早く晴れろと願う。できれば可愛い女の子、可愛くないむさい男の子は勘弁してくださいと願う。
最高レアなのにモヒカン肩パッドのゴロツキみたいなのがでてきたら凄く複雑な気分になると思う。
多くは願わないので、できればエーリカさんくらい巨乳で美人(想像)で、強い人にしてください。
そんな厚かましいことを願っているとゆっくりと煙が晴れた。
そこにいたのは息を飲むような美しい少女だった。
白い肌に、栗色の腰より長い髪、目尻が少し下がった慈愛に満ちた瞳。
装備はSSRに相応しく豪華な装飾が施された銀に輝くガントレットとハイヒールのような脚甲。太ももにはガーターベルトとストッキングが覗いている。
物凄くセクシーな人が来たものだと体全体を見ると、手と足は騎士鎧にも関わらず、なぜか胴は薄いビキニブラ一枚で、下はランジェリーのような紐パンしかはいていない。
そして頭には十字が描かれた神官帽を被っている。
この人のクラスが本気でわからない。神官帽被ってるし、多分シスターだと思うが、俺の知ってるシスターはこんな痴女スタイルじゃない。
オリオンもなんだけど、この子もでかい、とにかくでかい。そんな薄布で支えているのはさすがに無理では? と困惑に拍車をかける。
「あなたが王様でしょうか?」
「えっ、あっ、はい」
痴女シスターが口を開き、俺は素っ頓狂な声をあげてしまう。
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