第23話 壁外の真実 下

 4人は森を抜けると、そこには広大な草原が広がっており、所々に林や丘、窪みが見えていた。

 遠くで魔法のような衝撃が見えると、インシュアは「おぉ~~~」と声をあげる。

 チャ子は警戒しながら草原を駆け巡っていた。


 ナガミチはあたりを見渡してから、杖を森と草原の境目に向け。

 「ここを進もう」といい、歩き始めた。


 先頭を、チャ子が警戒モードで森や草原を見ながら進む、その後ろをナガミチ、そして、アサト、インシュアの順で進んだ。

 「アサト、なぜここを進むと思う。」と、後ろからインシュアが話しかけてきた。

 「えぇ~っと…」と答えれない。


 「草原は広いからな、索敵するには絶好なんだ。そして、森は死角が多いから、不意打ちなどを食らう可能性がある。初心者のうちは、森を警戒しながら進んで、たまに草原を見る…、草原は遠くからでも敵がわかるからな…、こういうところを進んで場慣れをするんだ。」と言う。そして、

 「俺の武器もそうだが、お前のその武器も長い方だ、森や林のように空間が無ければ能力を発揮できない。まぁ場数を踏めば戦い方も学習できるから、空間の無い場所でも戦える。でも、武器に慣れるまでは広いところで戦う方がいい。」

 インシュアの言葉に、…なるほどと、感心した。


 アサトは、前を歩いているナガミチを見ている。


 未だに杖を使って歩いているし、最近では、肩で息をしている時もあるようだ。

 なんの病気なんだろう。

 一応、師匠だが、トレーニング以外は何も教えてくれてはいない。

 体調が悪いから教えれないのか、インシュアに丸投げしているのかな…。だから…と思っていると、森の中から悲鳴が聞こえてきた。


 チャ子は、立ち止まり警戒をする。目の前だ。

 距離にして2、30メートル先の森から、神官であろう、ローブ姿の女が飛び出してくると、すぐに盾と大きな剣を持った男が飛び出してきた。

 そして、間を置かずにゴブリンが3…4体飛び出してくる。


 盾を持った男がきびすを返すように振り返り、ゴブリンに対峙したが、ゴブリン2体は男の両脇に散ると同時に男を襲った。

 男は右側のゴブリンの攻撃を盾で防いだが、左側のゴブリンが、隙だらけの鎧と兜の間に短剣を差し込み、左右に振って傷口を広げて動脈を切ると、男の首から血が噴き出した。


 残りの2体は女神官を追いかけていると、女神官はなにかにつまずいたのか、勝手に前のめりで転がり仰向けになった、そこにゴブリンが覆いかぶさってゆく。


 「助けないと!」とアサトが声をだすと、「見ていろ」とナガミチがアサトを制止した。

 「でも…」と声を出すと、「チャ子は見るな。インシュア、チャ子の目をおおえ」と言葉にする。

 インシュアは、前に向かってゆっくりと進むと、チャ子が反抗を始めた、「なんで!」と…、

 「ここからは大人の時間だ。子供は目を閉じる。できないなら明日からは連れてこないし、母さんにも言うぞ」とナガミチが言うと、ほっぺを膨らませながら後ろを向いた。

 その後ろにインシュアが立ち、大きな掌でチャ子の目をおおうと、ほら前に歩けと言うような感じでその場から離れ始めた。


 女神官は衣類をはぎ取られ、生まれたままの姿にさせられると、戦士の男を殺したゴブリン2体も合流する。

 1体のゴブリンが腰に巻いていた布を取り、女神官を四つん這いにさせると、女神官は泣きながら、体を地面に押し付けるようにうつ伏せになり、草を掴んで抵抗をしていた。


 アサトは、駆けだしたい衝動に駆られていた。

 「助けたいか?」とナガミチ。

 「はい」とアサトはその問いに答える。

 「なら、お前はあのゴブ4匹を相手に勝てるのか?あの4匹を殺せるのか?」と、ナガミチは静かに言葉にした。

 その言葉に、返答できる答えがない事にアサトは気づいた。


 …あの重装備だった男も、2匹が相手だったとは言え簡単に殺されてしまった。

 何も教えてもらってない今…、戦うこと…、勝つことなんて…できるのか?

 今までやって来たことは、なんだったんだろう…。

 この世界で、生きてゆく為の力をつけていたんではないのか…。

 でも、今の自分には何もない。

 腹筋や背筋などをやって木刀を振るだけの毎日で、戦い方の一つも教えてもらえてない。

 でも…でも……。


 アサトの気持ちが解ったのか、ナガミチは静かに話し始めた。

 「今まで何も教えてやれなかったが…。『』と言う気持ちを忘れるな。強くなる、強くなりたいと思う心の根源には何かが必要だ。今までやっていたことは無駄ではない。ただ、用意も何もできていない状況で、なにか出来るなんて都合のいい現実なんてない。耐える事も修行。自分の弱さを知るのも修行。今は、自分のいる現実を見るんだ、そして、受け入れるんだ…。」と言葉にすると、ゴブリンらの行動を目を細めて見ていた。


 ゴブリンは、四つん這いにした女神官に、いきり立った直径6センチ、長さ20センチ程のイチモツをじり込むと腰を振り始めた。

 女神官は、女の喜びを伴った喘ぎ声をあげる。

 もう1体のゴブリンが、女の口にイチモツを捩じり込み、もう1体は、女の下に入り胸をむさぼり始めた。

 残った1体も腰布を取り、イチモツをシゴキながら女のそばに行き、右手を掴むと、その手でイチモツを握らせてしごかせた。


 「戦わなければならない、強くならなければならない、と思う根源になりうる出来事は多々ある。そして、なによりも必要なんだ。今、この状況を見ていて、自分の無力さがわかるだろう?これも根源になるんだ…。お前はがんばっている。だが、心はどうだ?心は…ついてきているか?」とナガミチ。


 最初にじり混んでるゴブリンが女神官に対して、早いピストン運動で子宮の奥にガンガンと腰を振ると、天を仰いで小さく痙攣をしながら果てた。

 そのイチモツを抜くと、今度は手でしごかせていたゴブリンが、女神官の後ろに立ち、イチモツを締まった膣口に捩じり込んだ、女神官は喉の奥から女の喜びのような声を上げる。

 ゴブリンが腰を振り始めると


 「いいか、よくみておけ、お前の目の前に広がっているのも『』。そして、ここからは、これから、お前が俺から学ぶ『』だ。」と言い、ナガミチは歩き出しながら左右に備えている、左側の太刀を抜く。


 最初に果てたゴブリンがナガミチに気付くと、捨ててあった短剣をひろい走って向かってきた。

 そして、ナガミチの手前でいきなり左に飛ぶ、が、ナガミチは目だけで追い、ゴブリンが着地する前に頭から真っ二つに斬った。


 奇声にも似た断末魔に、ゴブリンたちは声がした方を見る。

 しゃぶらせているゴブリンは、イチモツを女神官の口から抜くと、そばにあった短剣を手にする。

 胸にしゃぶりついていたゴブリンも短剣を手にした。


 2体同時に駆けてくる、ナガミチはもう一本の太刀を鞘から抜き、大きく後ろに飛んだ。そして…

 「ZAN!!」と横方向に平行に刀を振ると、駆けてきたゴブリン2体が、腰と首が切断され、腰下、胴体、頭の3つに斬られると、その勢いのまま地面に落ち、小さくはねて肉の塊と化した。


 ナガミチは最後に抜いた刀を鞘にしまうと、まだ性行為をしているゴブリンに近づいて、目の前に刃を突き付けた。

 「死が近づいていても…やめられないか…哀れだな…」と言って、刀を払った。

 ゴブリンの頭が宙に舞う。だが、胴体は腰を振り続けていた。

 血吹雪が上がり始めると、腰の振りもゆっくりとなり崩れるように倒れた。

 女神官も前のめりに倒れる。

 女神官からゴブリンを離すと、自分の羽織っている長いコートをかけて辺りを見渡した。


 アサトは、その場に立ち尽くすしかなかった。

 ナガミチの戦いは、一瞬。と感じた時間であり、4匹倒せるのか…悩んでいた自分がどんなに無力なのかを痛感した。

 あのおぞましい行為が現実であって、ナガミチが放った一撃も現実…。

 そして、これから…学ぶ『』……。

 体の奥から湧き上がる、死と言うモノへの恐怖と、あのような戦い方を教わる事が出来る、と言う喜びが交差している中で、ナガミチを呆然と見ていた

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