第17話 敗走者達の末路 下

 同じような光景が、男の前にもあった。


 仲間の魔法使いシディが、生まれたままの姿でオークに抱きかかえられている。


 濃い茶色で筋肉質の体は、真っ白で華奢きゃしゃなシディの体をがっしりと抱いて、大きくいきり立っていた、直径9センチ、長さも40センチを超えるであろうイチモツを、小さく締まった膣口ちつこうから彼女の中に入れていた。

 胡坐あぐらをかいて座っているオークの上に、シディが股を広げて座っている姿勢。

 座位の姿勢でオークが腰を使うと、シディは、イヤらしい声を上げていた。

 たまにシディの体を引き離すと胸を揉み、そして、ムシャブリつく。

 「ンうぐぁ…ンうぐぁ…ンうぐぁ……」とオークは力強く、シディの子宮を、イキリ立った巨大なイチモツで突き上げる。

 その度に「アン、アァン、アアァン…」と、シディは女の喜びの喘ぎ声をあげる…。


 男は、上下に動く金髪の髪と、ピンク色の乳首が上を向いてついている、形のいい胸が、上へ上り、ゆっくりと下がり、再び上がり、下がる動きをしている状況を、立ち膝のままで眺めていた。


 オークは、男を見て嘲笑ちょうしょうを浮べながら、男に見えるようにシディの胸を揉み、乳房を口に含むと、その度にシディはイヤらしい喘ぎ声をあげる。


 …もう勘弁してくれ…


 男は、シディと獣との性行為の場面を見ながら、何かにすがりついていた。

 彼女は、この地に誘われた約3年前から、一緒にパーティーを組んでいた仲間で、シディの他にも、ジェームス・シリウス・ケイト、そして、ハジェット…がいた。


 私は…間違ってはいなかった…はずだ…。


 丘の上から見ていた光景は、まさに。王国討伐隊の勝利に間違いはなかった…。

 あの時に、あのドラゴンが出てくるまでは…。

 ドラゴンの攻撃で盾持ちのジェームスとシリウスは死んだ…、ドラゴンに焼かれて死んだはずだ、確認はしていないが、あの場から戻って来た者はいない…、と言う事は死んだに違いない。

 アサシンであるケイトも死んだか、今、目の前にあるようなおぞましい暴行に合っているのかもしれない…。

 ハシェットは、私と魔法使いのシディを守って、ゴブリンの矢の標的になって死んだ…。

 命からがら街まで4…5キロと言うところまで来たが…、どうやら、ここまでのようだ…。

 私の周りには、残虐に殺されている男らの屍…、そして、至る所で性行為を行われている女性…。


 私は…なぜ…生きているんだ?見せしめか…。


 オークはシディを持ち上げ、彼女の膣口からイチモツを抜くと、掲げられたシディの割れ目は大きく開き、その尻よりについている膣口からは、白く、そして、血の混じったオークの精液がだらだらとこぼれていた。

 オークはシディを下ろすと、今度は四つん這いにして、後ろからイチモツをじりこんだ…。


 オークはこれまでに感じただけでも、5度は果てていたはずだ…。

 男を見て、オークは大きく笑う。


 …屈辱だ…。

 だが、私は…神官…。

 奴と戦っても…。


 と、うなだれている向こうで、シディの金色の髪が前へ後ろへと動き、眉間に皺よよせて吐息交じりの喘ぎ声を発していた。


 …こんな事、いつかはあるかも知れないと思っていたが…、いざ、現実をたたきつけられると…かなり、厳しいな…。

 あ~、だれか…私を殺してくれ…。私を残さないでくれ…。

 このまま生きていても…地獄しか待ってない…。


 と性行為をしているオークとシディをぼんやりと見ながら思っていた…。


 とその時…。

 背後から「ZAN!!」と声が聞こえると、早い風が流れた感じがしたと思った瞬間。


 目の前にある光景が一変していた。


 シディの後ろで腰を振っていたオークの首が無い。と思うと、右手をがっちりと掴まれた、男はその方向を見る。

 おかっぱ頭で、頭の裾を刈り上げている背の低い男が立っていた。

 …160センチほどであろうか…、どこかで見た事がある…。と男は少し思った。

 おかっぱの男はあたりを見渡すと、後ろに向かって“進め”と言わんばかりに前に向けて手を振った。

 そのサインに、ゾロソロと敗残者達が小走りに進む


 「あぁ~…ㇱ…シディ…」男は、シディへと手を差し伸べた。

 おかっぱの男は、女の方を見てから「立てるか?」と、男に声をかける…。

 「あぁ~…ㇱ…シディ…」と男が声を発しながら立つと、そばに落ちていたメガネをおかっぱの男が拾い上げて男に渡して、「シディは俺が連れて行く、お前は、街を目指せ!」と言葉をかけて、彼女の方へと駆け出した。


 男は、四つん這いになって、首の無いオークに未だに突かれている体勢のシディを見ながら、街の方へと進み始めた。


 シディの近くにおかっぱの男が近づくと、周りからオークが集まる。

 その数、3体。

 おかっぱの男は冷静に、一番近いオークへと駆け出すと体を沈める。

 オークは持っていた剣を、おかっぱの男に振り下ろすが、おかっぱの男の方が動きが速く、顎下に短い剣を刺すとその剣を右の方へと走らせ、斬ったオークの上げていた腕をつかむと少し浮き、両足で腹を蹴り後ろに宙返りをする、そこにもう1体のオークが来ると、オークの左腕に足を絡ませて肘の関節を決めながら倒した。

 オークの腕は肘から曲がってはいけない方向へ曲がり、痛さにのたうち回っているそばで、おかっぱの男はゆっくり立つと、冷ややかな目でそのオークを見てから、こちらに向かってきているオークとの距離を確認したのち、のたうち回っているオークの顔を足で押さえると、動脈の通っている首に剣を刺す。

 近付いてくるオークを見ながら、もう一本短剣をとりだすと後ろに飛び、「ZAN!!」と言いながら短剣を振ると、オークの首が宙に飛び、けたたましい量の血を噴出しながら体だけが向って走って来た。

 その体を足で止めると、オークの体はその場に倒れた。


 おかっぱの男はシディのそばに行き、動きの止まったオークを引き離すとあたりを見渡して、「大丈夫か?動けるか?」と聞くと、そばにあった死体が羽織っていたローブをはぎ取り、シディにかけて立ち上がらせた。


 「アル。ゴブが来る!!」と、アルと言われた男の肩に、20センチほどの男が立って指をさした。

 さした方向を見てアルは頷くと、「リッチ。シディを誘導しろ、俺が始末する。」と言い駆け出した。


 リッチはアルの肩から飛び降りると、シディに向かって「走れ!!」とうながす。

 シディはリッチの背中を見ながら、言われるままにその後をついてゆく。


 リッチが言うようにゴブリンが6体。

 アルは、一番近いゴブリンに向けて投げビシをぶつけると、ひるんだゴブリンの首に一撃を繰り出し、むかってくるゴブリンに再び投げビシをぶつけ、そして、剣を首に突き立ててから前方に飛ぶと一回転して、ゴブリンの懐に入り、立ち上がりながら顎に剣を突き刺した。

 背後から襲ってきたゴブリンには、姿勢を落として足払いをすると、仰向けに転んだゴブリンの眉間に剣を突き立てる。

 「ッチ…、あと2匹か…」と、その気配を察知して低い姿勢のまま駆け出し、ゴブリンの前で高く舞い上がるとゴブリンを飛び越える、そして振り返り、首の後ろに剣を突き立て、最後に向かってきたゴブリンには、動かずにそばまでひきつけてから、ヒラっとゴブリンの剣を交わして首の動脈に剣を突き立てた。


 剣からゴブリンの血を布で拭きとり、鞘にしまいながらあたりを見渡すと、まだまだ敗残者を襲う輩は沢山いた。


 アルは、その風景らと、流れるように進む敗残者たちを見ながら空を仰いだ。

 もうすぐ夕暮れになる…。


 「ここまでだな…」と言いながら、後ずさりを始めた…。

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