第14話 幻獣討伐戦 上
国王騎士団軍師セルゼットは。
国王軍6000名、ギルド傘下パーティー366パーティー、2578名、単独参加パーティー41パーティー、286名。
合計8864名の討伐隊を指揮することになった。
セルゼットは56歳、身長は164センチで大きな腹を抱えている。
国王支援部隊に20歳で入隊すると、神官所属の兵役を経て士官となり、作戦師部所属に任命され、何度かの討伐戦で作戦参謀補佐などを経験したのち、主席国家的討伐依頼補佐官に繰り上げられると、その間に多くの国家的討伐依頼の指揮補佐や指揮を執り武勲を上げ、49歳の時に晴れて主席国家的討伐依頼指揮官の任に着いた。
この役職は、軍におけるナンバー2の座であり、作戦立案作成を部下に指示をして作成させ、作戦立案会議や作戦開始前の資金調達、並びに予算等で大きな発言力と準備金の使用ができ、討伐戦では、主席参謀としての座に座り、討伐戦勝利時には、名を残せる事の出来る名誉職である。
国王軍のトップが将軍であるなら、その次の役職である。
将軍は騎士出身者以外はなれないので、セルゼットはこの地位が軍における、最終目標なのであった。だが、この役職は、この後の役職に向けての踏み台としか考えていなかった。
後に国家の公職に就く事を思惑していたのであり、その為にも、もう一つ大きな武勲が必要と考えていたところに、幻獣出現と言う吉報が届いてきた。
これはいい機会であると思い、国家的討伐戦の命が下るのを待ったが、なかなか命は下らなかった。
それもそうである。
南方より幻獣出現の報を得たのは16日前で、それから偵察と観察を行う。
王国首都はこの国を分断している
幻獣出現場所から王国首都まで、700kmは離れている。
目的や進路が定まらない状況であり、尚且つ、最大標高2500m級の山々が連なる
万が一にも
クレハラ王は大臣、並びに官僚の判断を尊重していた。
しかし、この年の10月に王国の公職大臣指名が行われる。
その指名を確実にとるためにも、セルゼットは大きな武勲が必要であった。
幻獣と言えば、最近、海を
軍師でいるうちに、一度でもめぐり合うことが出来るか否かの討伐戦。
セルゼットは、幻獣を討伐する作戦を部下に指示をして、秘策を練りに練り上げると、国家的討伐戦へと持ち上げる段取りまで部下に指示を出していた。
まずは公職大臣への賄賂。
討伐戦ではあらゆる物資が必要とされる事を目論む計上の操作、武器や防具の発注時の上乗せ計上。食料や生活必需品の上乗せ計上。そのモノらの運搬に対する費用の上乗せ計上。
財務公職大臣には金貨を発行させるが、経済への影響を考えて、発行させた3分の2を軍部に寄贈させた。この金貨を利用して、再び汚職を繰り返す。
上乗せ計上した上乗せ分は、当然、その部署を管轄している大臣や官僚に賄賂として懐にうまくしまってもらう事にしていた。
官僚には、寄贈させた金貨を利用した。
他にも次期大臣になった暁の現官僚の待遇などを取引の材料にして、力のある大臣や官僚を丸め込むと、すぐさま国家級討伐依頼戦を獲得した。
ただここまでやるには、十分な勝機がなければこのような行動はとれない。
セルゼットらは、完璧なまでの勝算を得た作戦を立案して、将軍、アルゼストと軍事大臣へ新規発行金貨10000枚を贈ると、立案された作戦を、軍事大臣と将軍を伴い王を説き伏せさせた。
将軍、アルゼストを先頭に、指揮官セルゼット、そして、王国騎士団6000名は、討伐戦確定日にはデルヘルムへと進軍を開始したのだった。
デルヘルムは、王国内では比較的小さな街であった。
セルゼットは、討伐戦に参加するだろう狩猟人は5000人程と思っていたが、蓋を開けてみれば、その6割の2864名に留まったのには、少しだけ目測を誤った。
尚且つ、デルヘルム最強格闘派ギルド、エンパイアの参加は7パーティー、62名、第2の勢力、デスクラウンでさえ6パーティー、45名だけであった。第3のギルド、パイオニアは0と言う。
なんとも参加率の悪い状況に少し苛立ちを感じたが、8000名のサイズの部隊なら幻獣くらいはたやすいと思い込んでいた。
数で勝ればいい。
当初11000人と見込んでいても9000人に近い数ならなんとかできる。
セルゼットは、討伐布陣の要綱を修正もせずに各パーティーに配布した。
セルゼットらが建てた作戦要綱は次の通りである。
まずは、王国騎士団、魔法遊撃部隊の魔法攻撃を15分間。
前方部分を中心に行い、幻獣の足止めと先行するゴブリンやオーク、獣人の亜人などの比較的小さな標的を一時的に足止め、そして排除を行う。
幻獣のそばに付く、ゴブリンやオーク、獣人の亜人などの比較的小さな標的は、狩猟人パーティーの白兵戦部隊が30分かけて個体数を減らす。
その後、狩猟人パーティーの白兵戦部隊は下がり、再び一斉魔法攻撃をする。
その攻撃は15分。頭部への攻撃を主とした攻撃をする。
それが終了後、再び狩猟人パーティーの白兵戦部隊が周りにいるゴブリンなどの個体数を減らす。
リベル周囲の個体数が大まかに減るまで、この攻撃手段を継続する。
ストワード中将の確認により、周辺個体数の減りを確認したら最終段階を迎える。
最終段階は、首への魔法攻撃を15分間、その後、国王軍騎士団、盾持ち部隊が中心となり、頭部破壊、並びに首切断の肉弾戦へと移行する。
尚、戦利品は各々で獲得しても構わない。
白兵戦時には、弓矢部隊がその援護を行う、また、首切断作戦への一斉攻撃は、狩猟人パーティーの参加も求む。
狩猟人パーティー所属の魔法使い・並びに神官は王国騎士団魔法部隊と連携すること。との要綱であった。
時間差で、少しずつ幻獣の周りをそぐ作戦であり、最終的には、幻獣を孤立化させ、尚且つ、動きを止め、頭部破壊、切り離しへと持ってゆく戦法であった。
絶対の自信を持ちながら、デルヘルムより南西に約10キロ程の拓けた場所に陣を張った。
周りが見渡せる丘に、馬に乗って、こちらにゆっくりと進んでくる幻獣“リベル”を補足していた。
真っ黒な巨体に赤黒い角、牛の様な顔のリベルは、ゆっくりと四肢を使って進んでくる。
布陣は、狩猟人パーティーが一列目。その後ろに聖騎士団盾持ち部隊、3列目にグラディエーター部隊、その後ろに石弓部隊。そして最終列は、王国騎士団魔法部隊が陣取っていた。
リベルはゆっくりと進んでくる。その距離1000m。
ストワード中将が、布陣の前に進み出ると気合の一斉を放つ。
「我々はあのマモノにたいして、可笑しくなるほどに小さい。そして、皆殺しにされるかもしれない…。だが、この地方で、我々以外に誰が…あのマモノに挑もうとした?」
馬の上のストワード中将が、討伐軍に語り掛ける。
「誰も何もしない…なら、我々が挑んでやろうではないか!今こそ声と態度で示してやろうではないか、挑んでやろうではないか!!」
幻獣は800mほどに迫ってきている。
「大王国討伐隊の力、それは狩猟人でもない、王国兵士でもない、この地に生きている我々一人ひとりの力。それを見せつけようではないか!!」
その言葉に王国騎士団、盾持ち部隊が盾をたたく。
「小さくても、あのようなマモノに挑む。この雄姿を、魔物たちに見せつけようではないか!!」と力強く言葉にすると、一層盾をたたく音が大きくなる。
「我々の存在の雄叫びを…!あのマモノ…そして、この地に響かせようではないか!!」と力強く言葉にすると、ひときわ盾をたたく音が大きくなる。
「さぁ、もっと、もっと、響かせろ!この国に我ら有りと宣言しようぉぉぉ!!」と腕をあげて吠えると、
「うぉ~」と一斉に雄叫びと共に盾や鎧を叩き上げる音が大きくなる。そして
「大王国討伐隊ここにあり!!」と叫ぶと、
討伐部隊が「大王国討伐隊ここにあり!!」と一斉に声を上げた。
「ちいさい!!もっと大きな声で!!この声を国中に響かせろ!!大王国討伐隊ここにあり!!」ストワード中将の発破に討伐隊の声が大きさを増して
「大王国討伐隊ここにありぃ~~~」と響く。
幻獣の距離は500mを切った。
ストワード中将は指揮官である将軍を見る。
距離は確実になくなっている。
幻獣の近辺にいるゴブリン、オーク、獣人の亜人、人間とゴブリンやオーク、獣人の亜人などの合いの子イィ・ドゥなどが、こちらに向かって進んでくるのが確認できた。
すでにその距離300mを切ったところで、ストワード中将が右手を挙げて構えると、ゴブリン、オーク、獣人や亜人、人間とゴブリンやオーク、獣人の亜人などの合いの子イィ・ドゥなどが、手に届きそうなあたりまで来た時に力強く振り下ろした…。
「放てぇ~」と共に…。
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