第14話【世界の始まりを君と】
昼食を終えた僕は、木の枝に掴まって、優しい雲を運ぶ青く澄んだ空を眺めていた。
遠くや近くで、仲間たちの話す声が聞こえる。ここは穏やかで、心地いい。
遠くの空から、一羽の鳥が飛んでくるのが見えた。それは空に浮かぶ雲と同じ、綺麗な純白の羽を持っていて、僕は思わず見とれてしまった。
その鳥は、僕のすぐ近くに止まると、首を傾げて僕を見つめた。
そうか。
会いに来てくれたんだね。
僕は自分の右の翼を伸ばし、その鳥に近付けた。
真っ白の綺麗な鳥は、左の翼を伸ばして、僕の羽先に触れた。
柔らかく優しい温もりが、胸の辺りに満ちる。
「やあ、また会ったね」
白い鳥は軽やかな声で、楽しそうにそう囀った。
君はいつも、僕の心を明るくしてくれる。
「やあ、また会ったね」
僕もそう返すと、君はその白い翼を畳み、トントンとジャンプして僕のすぐ横に寄り添って目を閉じた。
僕は広げていた水色の翼で、君を優しく抱きしめるように包み込んだ。
それは、果てしなく青い空と、そこに浮かぶ白い雲のように見えた。
世界の終わりを君と 青海野 灰 @blueseafield
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます