第1話 -出会い-

 ピピピッ!ピピピッ!ピピッ..


 スマホアラームに目が覚めた。アラームを止め、ふと画面を見ると午前5時を少し過ぎた頃だった。ベットから起き上がりカーテンを開けると、少しまだ薄暗い空が広がっている。


 ゴホッ!ゴホッ!

喉が渇いているのだろう。少し苦しいほどの咳払いだった。

スーツを着る前にお湯を沸かし、着替えが終わる頃にコーヒーを飲みビジネスに行くというのが俺の毎日の日課だ。

 コーヒーを飲みながら今日のニュースをスマホで見ていると、懐かしのニュース特集見たいなものがやっていて中には、

 ペンドラ 一斉予防注射、AIの進歩、半永久的な電力の未来…

など色々な過去のニュースがあり画面をスライドしていくと、その中に特に意味もないがふと、目に止まったニュースがあった。

 こんなニュースもあったな。そう思いながらコーヒーを飲み、そのニュースの詳細を見ようタッチした時、出勤の時間に気づき

 やっば、、

急いで足早と玄関を出ようとすると、ポストに一枚のチラシが入っており、急いでいたため確認せずバックにしまい家を後にした。



 出勤は電車での移動で駅を二つほどはさんで三つ目の駅で電車降り定期のICカードを使い駅を出た。 駅からは徒歩10分ほどの所に会社があり、回りはビルやデパートなど大きい建物が多く並び、人も多く活気がある所だ。

 会社には5分前には毎日出勤していて、なんと言うこともない普通の人生で、大学を出て、多分大手企業の会社に勤めたのだが、

会社ではITのような事務のような一日中パソコンと向かい合ってる仕事で目が疲れる、、この仕事が俺にとっての天職だとも思っていない。

 しかしこの会社は給料が安定でそれほど出来ない作業などがなかった、だからやめる気も無い。

やはり世の中は金なのかもしれない。

 日常が普通過ぎて平和な世の中、別にそんな世の中悪くないのだが、何か足りないとすれば少し変化がほしいぐらいだ。

 


 お昼を過ぎた頃昼休憩で俺はいつも行き付けの喫茶店に行っている。喫茶店は都会っぽさ溢れる街のなかにポツンとだけあるような店で、とても人気というわけではないが常連客は多く、ここで出されるコーヒーは俺のイチオシだった。

 店の名前は【喫茶店ロア】

喫茶店の近くに来た時さっきまでは晴れてのに急に雨が降りはめじめた。すぐ止みそうな雨なら喫茶店に入るのだか、今日の雨は止まなそうだ。いつもなら帰るつもりだったがの目の前まで来てしまった、本来なら雨が降ってるときは会社で昼を済ませるのだがここまで来たら仕方ない。今日は我慢しよう。


少し雨粒が付いたコートを手ではらって雨に当たらぬよう足早に喫茶店の中に入った。

 (カランカラ~ン) いつ聞いても落ち着いているいい音だ。

店に入ると、いつもなら喫茶店のマスターがいる所に見かけない女性が一人カウンターでを作業をしていた。こちらには気づいていないのだろう。それにしても今日は人が少ないな。

いつもの席に座りにいこうとすると、

『あ、いらっしゃいませ。あれ?珍しいですね。こんな天気に』

先程カウンターで作業をしている女性の店員がこちらに気づき話しかけてきた。

『まぁ、、急に雨が降ってきたので。』

動揺して流れで答えてしまった。俺の事を知ってるような口振りだった。

『えっと、、、マスターは?』

女性は動揺する俺の様子を見るなり

『あ~!すいません!急に。父は今は少し不在で代わりに私が店番をしています。お客さんの事は良く父から聞いています。常連さんのお客さんはいつもなら雨の日になんかは来ないと父に聞いていたのでつい。』

ただ毎日喫茶店に通ってるだけで、いつの間にか覚えられとは思いもしてなかった。常連さんか、特別な感じでいいな。

『そうなんですか。』

どうやら喫茶店のマスターの娘さんのようだ。

『自己紹介がまだでしたね。レーナです。

 

お客さんのご注文はいつものコーヒーでいいですか?』

『あ、はい。

 僕はフラーウス=ユアンです。』

『ユアンさんですね。

 よろしくお願いします。』

彼女はコーヒーをいれながら答えてくれた。

コーヒーがテーブルまで届き、一口飲むとマスターとは少し違う味がしたが、美味しかった。

『すいません、父とは違うかもしれませんが。。。』

『いや、美味しいですよ。』 

少し彼女は照れたような顔をしていた。

『ゆっくりしていってください。』


数分が経ち、朝チラシをカバンにいれたことを思い出した。カバンからチラシを取り出したとき、少し古い紙で作られてるチラシだと気づいた。チラシには大きな文字で

[コールドスリープの体験] と書かれていた。偶然だろうか朝みた内容が頭によぎった。チラシの左下の方を見ると、

『嘘だろ、一年半以上も前に発行されたチラシじゃないか。』

驚いて声に出してしまった。

『どうかしましたか?』

レーナは少しびっくりしたかのように反応した。

『いえ、、別に。』

対したことではないのについ。いや、対したことではある。昨日までポストはからだったのに誰がこんないたずら。

しかしコールドスリープか。チラシの表にはコールドスリープの簡単な説明など、裏には体験を行う場所の案内地図がかいてあった。

けど一年半以上も前のチラシ、もうやってないだろう。それにここ最近そんな話聞いたことがない。嘘くさいな。色々不思議に思いながらコーヒーを飲みながらチラシを眺めているといつの間にか昼休みが終わる時間になっていた。どうも時間には少し鈍感なところがある。店を出る支度をした。

『ありがとうございました。また来てくださいね』

彼女はとても明るい笑顔をしていた。

『はい。また来ます。』

店の扉を開けて外を見ると雨が止んでいた。やはり通り雨だったようだ。店を出て雨上がりの空の下、小さな水溜まりを避けながら店を後にした。


「ごほっ……っくっ」

苦しそうに肩を上下させながら激しく咳がでた。ここ最近咳がよく出るなぁ

そう思いながらも季節的な何かだろうと、特に気にせず会社に向かった。

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