ヒロシマノート 大江健三郎

 学校図書で借りた当作者の親書を読み、文中に登場したエッセイです。

 題名を見て、どんな本なのか読みたくなり中古本で購入しました。

 早く読みたい欲がありながらも、意図して八月六日に合わせて読むことにしました。

 読み終えてすぐに昼食を取ったのですが、ニュース番組で広島の平和記念式典の模様が流されていました。

 画面を見つめながら現在と自分の時代感覚がかけ離れていることに、ふと気が付きました。

 この作品を読んでいる間、自分は時間を遡行したような気分に陥っていました。

 書かれた当時は戦後二十年ほどしか経っておらず、原爆被爆者も存命している方が大勢おられました。様々な文献や手記が載っており、投下直後の状況が記された手記が多く、自らも被爆していながら他の被爆者の治療にあたる医者たちの姿は当時を知らない高校生ながらに、胸の痛くなる感動が押し寄せてくるのを止められませんでした。

 テレビでは放映されない原爆の実態を、克明に著してあります。「ピカドン」という絵本に、「オイッ」と肩をたたいたら、ざらざらと戦友はくずれおちました、という文章があるらしく、絵ともに目にすると核兵器の恐怖に震えました。

 自分は毎年の八月六日には、この本を必ず読むことを決めました。 

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