第18話 或る日
「私はあなたが私の親友と寝てしまったことを咎めてるわけじゃないの。わかる?あなたたちが裏でヤってるなんてことは、彼女から聞くまでもなく私は分かってたの。実際にすぐに彼女は私に報告してきた。だからしばらくあなたを泳がせたのよ『いつになったら自分から話してくれるんだろう』って思いながらね」
「そういう話は男からバラしにいくようなものじゃないんじゃないか?」と僕は言った。
「ねえ。私はあなたのことを親友だとおもってる」、と彼女は言った。
「僕もだ」
「もし仮に、仮によ。私の親友が私に報告して来なかったとしたら、容易に想像がつくとはいえ、私はあなたたちが裏で寝ていることを永久に知らないことになるわよね?」
そのとおり。と僕は言った。
「私たちは親友なのに、あなたは私にそんな重大な隠し事を持ち続けることになったのかもしれないじゃない。それが嫌なの」
僕は黙って聞いている。
「それともう一つ」と彼女が言った。
「私たち、もう長い付き合いなのに、私に隠し通せると思い込んでるのよあなたは。そうやって私を'なめてる'ことが一番腹立たしいの」
そういうと、彼女はワインを一気に飲み干して、小魚のフリットを頬張ったのだ。
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