第151話 左半身
「クッ○パッド取ってくれるかな。クッ○パッド!」
料理なんてやった事のない夫が、クッ○パッド連呼。
「今日休みだから何か作ってくれるの?」
半信半疑で、けど期待を込めて聞くデバネズミ。
「……違うよ、かかとが痛い。擦れて血が出てる」
何を言ってるのかな? もしかしてクイックじゃないの?
やっぱりそうだった。傷口に貼って自然治癒力を高めて
ケガを治すパッド。モイストヒーリング効果あるよね。
「言い間違えた。面白いおじさんだろ。それより、左目も
腫れてきたし、かかとの傷も左だし。お祓い行こうかな?」
何ですと! お祓い? おはらい、おはらいって。
左肩の痛みから始まって、たまたま左側だけだよね。
「お祓いにお金使うのもったいないよ。その分、目薬とか
湿布とか、消毒液買えばいいのに。変なの」
夫は目に見えない物にお金を使う事に抵抗がないタイプ。
安産祈願とか、厄払いとか、色々万札がとんだ。
「ちょっと待って、今調べるね。左にだけ不調ね、えーと」
痛い所を庇ってるから、左足に負担がかかったんだよ。
それでかかとにマメが出来たんだよ、きっと。
左目の腫れは、蚊に刺されただけだよ! 知らんけど。
人間の身体は右か左。二分の一の確率だよ。偶然。
お祓い阻止する為にくどくど言うデバネズミ。
ん? 何これ? スピ、スピチャ、スピチュ
スピリチュアル? 言えない。
左半身が不調な時のスピリチュアルな意味?
そんなのあるの? 気のせいだけど気になる。
夫の前で大きな声で読み上げる。
「左半身に不調が表れる時ってね、仕事で度を越している
とか、過去の出来事にとらわれている時だって」
「あとね、人の好意やアドバイスを受け入れてない時。
褒め言葉も素直に受け入れましょうだって。受け取り下手
になっていると不調が出るんだって!」
苦笑いの夫。微笑むデバネズミ。
「今まで身体酷使して頑張ってきたからだね。
夜勤お疲れ様でした。ありがとう。
定年退職したら、旅行に行こうね。
労りあって生きていこうね!」
褒め言葉とアドバイスを受け入れて欲しいデバネズミ。
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