第148話 心配御無用!

『明日お母さん休みだよね。クリーニング取りに行くね』

娘からメールが来た。

預かっていた冬物のクリーニングを取りに来ると言う。


『明日休みだよ。待っているね』返信するデバネズミ。


どうしようかな? 


『あのね、先に伝えるけど、お父さん……』


そこまで打って消す。『お父さんね、実は……』


また迷う。左手が痺れて痛いと病院に行ってる最中の夫。


左肩が上がらない。六十肩だね。指先まで痺れるって嫌な予感。

友達の旦那様はそんな症状から心筋梗塞になった。手術成功。


夫が帰ってくるのを待ちましょう。

結果を聞いてから、詳細をメールしても遅くない。


「首が、クビの骨が、っつー、神経を圧迫して」

コルセットをした夫が帰宅した。心筋梗塞関係ない。安心。


「ぷッ、良かったね、いや、ごめん。ぷっ。痛いんだね」

 安心したら笑ってしまう。鼻血と同じ反応するデバネズミ。


「しばらく安静にしてろって。明日仕事休むから」

「その方がいいね。あっ、明日娘が来るんだけど、断る?」

「いいよ。どこも行けないけど」娘に会うのが一番の薬だ。


もっと迷い始めるデバネズミ。

先に伝えようかな? いや心配御無用ってメールしても

姿見るまでは、安心出来ないよね。やめておこう。



「ねぇ、娘には言わずにおくね。で、明日あなたのその姿を見て

笑うと思うの。あの子は必ず笑うと思うの。落ち込まないでね」


「……うん。分かった。心配かけるのも可哀想だし、運転してくるし

うん、大丈夫。笑われても気にしないよ」物分かりの良い夫。ごめん。


翌日、駐車場に夫の車を発見した娘。開口一番、

「ねぇ、なんで今日お父さんいるの? えっ、首どうした?

フッ、何? どうした? ププ。痛い? 何で? 小笑」


笑われる事覚悟してたよね。安堵の笑いだよ。鼻血見た時と同じだよ。


本当にどんよりしちゃった夫に言い訳するデバネズミ。

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