第133話 探し物

「ない、ない、どこにもない」寒くなったのでこたつ毛布を探すデバネズミ。

アパートです。収納出来る場所も限られています。押し入れ二つしかないし。


「去年、どこにしまったの? これだけ探してないなら捨てちゃった?」

慌てて探す私に娘が呆れて言う。あんな大きな物捨てたら覚えてるはず。

いや、最近覚えてない事が多すぎる。年取ると物忘れがひどい。


「これ、オレのじゃないよ」「あっ、ごめん、間違えた」

洗濯物も夫のか娘のか分からなくなりタンスにしまう。

二人とも黒いTシャツ、黒い靴下だからだ。


「これオレのじゃない!」

またですか? 今度は何ですか?

「……えっ! それはあなたしか履きません!」

一応私はおなごです。娘もおなごです。


「だってこんなの履いてた記憶がないもん」

夫が私に差し出す。あなたの場合、物忘れ以前の問題です。

「よく見て、これメンズでしょう。私たちおちん◯んありませんから!」

モモヒキを突き返すデバネズミ。それよりこたつ毛布探さなきゃ。


まさか、間違えて寝具にしちゃったのかしら?

探す。シーツを外して確認する。ない、無い。無いではないか。


再度、押し入れ確認。念のため衣装ケースの中も確認。洋服オンリー。

夏の肌掛け、扇風機を横目にふと思う。まさかね、この中かしら?


「きゃー、あった! あったよう。こんな所にあった」

 

旅行用のスーツケースの中に突っ込んでた。恐ろしい。

自分の記憶力の無さだけでなく、やる事が普通を超えて来る。


去年、自分のした事を思い出せなくなった。けど爆笑したからいいか。

今度は何で笑うか楽しみな幸年期♡


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る