第128話 娘よ!
「……とったの?」トイレにいる娘に確認する。
「まだだよ」扉の向こうで返事をする娘。
「提出するんでしょ?ちゃんととったよね?」
レストランで働く娘は必ず月に一度、検便を出す。
キットを手にトイレに行ったはずだ。もう一度確認デバネズミ。
「……水流した音したけど、ちゃんととれたよね?」
「……えっ?だからまだだよ。ケイタイ持ってきてないもん」
娘よ!写真撮ったかなんて聞いていない!誰が見たいねん!
五歳までだよ。いいの出たねって褒めたのは。もう見せなくていいんです。
「お母さん、アイロンどこ?ブラウスにかけたいんだけど」
「デートに着ていくんでしょ?……何処かお洒落な店でも行くの?」
「家にずっといる予定だよ。トランプやるの!」
娘よ!彼氏の家でトランプするのに、なぜ?
いつもお
「お母さんのハンカチもついでにかけておくね」
楽しそうで何より。行ってらっしゃい!気をつけて!
門限守って帰宅した娘。すでにうとうとデバネスミ。
「……お母さん、今いい?」
娘よ!なぜ一番眠りが深い時に起こすのかしら?
「……お母さん、プロポーズされた!」
なんですと!眠気まなこのデバネズミ、目をこすってよく見ると、
赤いバラの花束と婚約指輪。ダイヤですよね?いいですね。
「そんな予感してたんだ。だってちゃんとした格好で来て!って言ったから。
多分半年以内には結婚すると思う。それでね、家はね……」
娘よ!夜中です。眠くて大事な話についていけません。
夫も寝ている、起こすのはかわいそう。明日自分で報告してね。
嬉しいのか、寂しいのか複雑な心境のまま布団に入るデバネズミ。
朝一番に聞かされた夫、どんよりしている。なんか寂しそう。笑
娘よ!今は幸せなひと時を味わいなさい。彼は優しくて真面目な青年。
あなたを包み込んでくれるでしょう!良かったね。
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