第127話 人生色々

「お母さん、残りの人生まだやりたい事があるんだ」

「へー何?正社員でバリバリ働く事?趣味に没頭する事?」

娘がありきたりの答えをする。首を振るデバネズミ。

「……あっ私が結婚して子供産んだら、孫の世話?」

娘の現実的な答えに微笑むデバネズミ。


新聞で見る訃報欄や地元のニュースに人生色々って思う。

友達の息子さんが亡くなった。まだ30代。

お客さまが事故して名前に容疑者がついちゃった。

中学校の同級生の男子、お母さん殺しちゃった。


普通の暮らしが一瞬で変わる。

コロナに罹らず安心しても、災害が襲う。

友達の笑顔が、家族の笑顔が泣き顔に変わる。


「お母さんね、駆け落ちしてみたかった。今は相手いないから

蒸発かな。それでね、伊豆か熱海の温泉宿でこっそり仲居さんやるの。

訳ありな顔して、無口な仲居さんを演じてね……夢はふくらむよ」


普通の専業主婦の妄想かしら?

そこでお金持ちの人と出会って……。

そう、それでね、捜索願いも出されたいかな。

お父さんと一緒に出してね。

人生色々って感じ、いいよね。


妄想話に娘が待ったをかける。


「蒸発って行方が分からなくなる事でしょ!

行き場所言ってどうする?そこ探すから。

言わないで欲しいんだけど」 怒られた。


伊豆と熱海は無しにします。

もう一度妄想始めるデバネズミ。


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