第126話 似てる3連発

「今日すごい人だったらしいね。夏は欲しいよね」

 テレビに映る人、人、人。。しかも行列が出来ている。

「……かえって怖いね、こんな人混みじゃ、移りそう」

 夫と話すデバネズミ。

「……やっぱり無理。ネット繋がらない!」

 スマホ手にして娘も会話に加わる。

「三枚で千円しないんだもん、みんな買うね」

「高く売るために買うんだよ!」

「まあ、そういう人もいるね。お母さんも欲しいな、

そのマスク。エアロゾルマスクだっけ?」

「……そんなのいらん!」

カタカナに弱いデバネズミ。



「お母さん、この歌好きなんだ。強くなれる理由を知ったって

ポジティブな歌詞最高よね」

店内に流れる曲に合わせて口ずさむ。

「……お願いだから静かにして」娘が口に人差し指を当てる。

一番盛り上がる歌詞来たー!

「♪竹をかじるム〜ス〜メ〜♫」

「シッ。歌わないの!確かにねずこ、竹咥えてるけど」

あっ、なんか違う。替え歌の歌詞だった。

「ススメとムスメ似てるよね。歌詞作る人上手いね」

買い物に集中させてと怒られるデバネズミ。


「最近、お母さんこの人に似てきた気がする」

テレビ画面を指差すデバネズミ。

「えっ、誰?名前は?」見逃した娘が聞いてくる。

「名前ね、なんかニカイ、ニカイどう?だったかな?」

「えー、全然似てないよ。目が二重だし、美人だし」

女優さんだと思って娘が全力で首を振る。

「……違うよ、政治家だよ。ニカイかな、検索してみて」

スマホで画像をじっくりと見る娘。

「…目とほうれい線の出方が似てるかも。けどお母さんの

方がまだ若いし、女の子だし……まだ大丈夫じゃない」

フォローしてくれるのは嬉しい。嬉しいけど、

「似てるのは顔じゃないの。前髪の薄くなり方だよ」

「……フフ、なんかごめん」肩が小刻みに震えている。


「♪強くなれる理由を知った。ボケをかますム〜ス〜メ〜」


二階幹事長に親近感を持つデバネズミ。

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