第114話 緊急事態

コンコン、ドンドン、ピンポーン!

出勤五分前の来客訪問に焦るデバネズミ

借金取り立て?トイレ貸して欲しいの?

とにかく緊急一大事のような開けろの催促。


「お待ちください!……アラどうしたの?」

「よかった~‼何度電話しても出ないから」


三日前から家電に留守番メッセージを

入れて連絡を待っていたと女友達が言う。


ごめんなさい。家電故障中の携帯なしです。


「○○さんが、どうしても聞きたい事があって、

至急連絡して欲しいんだって!携帯電話の方に

すぐに連絡してくれる?お願いね。要件を私に

一切教えてくれないのよ。あなただけにって」


何の事かしら?私にだけ聞きたい事?

てか、もう仕事行く時間ですけど。


○○さんは、クリーニング屋のお客様でもある。

仕事場から電話をかける事にした。


クリーニングの料金を聞きたいのかしら?

なら、なぜ友達に内緒にする?


大雨の中、徒歩通勤しながら考えるデバネズミ。


コロナ騒動で子供を預かって欲しいのかしら?

それも内緒にするかしら?


もしかして本人がコロナにかかったの?

私と濃厚接触したのかしら?いや最近会ってない。


「もしもし、連絡遅くなってごめんなさい。私に聞きたい事って何?」

「やっと繋がって良かった!今から行くね」


エッ?来るの?直接話したいのかしら?

大雨だ。お客さんも来ない暇な日だろう。来てもいいよ。

八時までに来てねとお願いをする。


「大根食べる?」

「‥‥ダ、ダイコン、えっ、た、食べるよ。食べる」

しどろもどろに答えるデバネズミ。手土産ありがとう!


緊急なのよね?。そんな時に大根というワード出ます?余裕に笑う。

夕方四時までなら子供さん預かれるな。

もしもお願いされた時の返事を考えるデバネズミ。


二十分後、大きな袋を抱えて彼女がやって来た。

まさかその中に子供がいるのかしら?


「やっと渡せる。良かった。大根三本と、ブロッコリー食べてね」

「……ありがとう!で、私に聞きたい事って何かしら?」


「さっき、聞いたから持ってきたんだけど。ブロッコリーもう黄色く

なりそうだから焦ってたんだ。間にあって良かったよ」


何ですと!緊急事態はブロッコリーの話。

色々心配したんですけど!


徒歩通勤だとも言えず……、いらないとも言えず……。


大雨の中、大根三本とブロッコリー二株抱え帰るデバネズミ。


重たいよ。でも何も無くて良かった。

重たいよ。けどなぜ内緒だったの。

重たいよ。緊急事態がブロッコリー


黄色くなりかけのブロッコリー、茹でて美味しくいただきました。





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