第113話 残念

「お母さん、デバネズミ書かないの?」

「ネタがないんだ。エッセイだから嘘書けないし」

デバネズミだけ読んでくれる娘に答える。


「いつもお父さんに怒られている事書けばいいじゃん」

「……怒られてませんけど!いや、怒られた気もする」


すぐに忘れるデバネズミ。まあいいっか。


気持ちを入れ替えて、小説書こう。


頭の中にあるものを整理して、組み立てて。


残念、主人公の友達の名前忘れた。

残念、弟がいたんだっけ?兄だっけ?忘れた。


ノートのプロットを確認するデバネズミ。


残念、字が汚くて……読めない。


気持ちを切り替えて、書き始める。


残念、『ダビデに恋して』みたいになっている。

シリアスなのに、ふざけて、突っ込んでどうする。

残念、やり直し。書き直し。


ダメもとで、アプリをダウンロードするデバネズミ。

小説プロットが便利、便利すぎる。

しかも面白い機能付き。相関図まで書けちゃう!

舞台、世界観、読者に訴えたいことは?

生い立ち、肌の色、髪の色、仕事、普段着は?

口癖、チャームポイント、性格は?

とにかく質問攻め。


ゼーゼー、ハーハー。主人公のプロフィール完成。

主人公を導く人の生い立ちは?肌の色は?

登場人物を順番に書き込む。ゼーゼー、ハーハー。

なかなか終わらない。


プロローグからエンディングまで埋める。


「そんなに長いと読者が飽きてしまいます!」

ダメ出しも入り、やり直し。ゼーゼー!


残念、プロット書くのに一週間もかけてしまった!


これだけ時間あれば、短編一つ書けた気がする。









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