第110話 親近感

「お父さんが見せたい物あるって言うから

 見たんだけど、前のより10倍の大きさだった

 よ。ずっと大事にしてたからね」

 妹が父親とのやり取りを興奮して話す。


「それを見た専門家が写真撮ったんだって。

 カルシウムが多い土地だから、貴重らしいよ」

「……?カルシウム?」首をかしげるデバネズミ


 実家にお宝なんてあったかしら?

 しかも珍しいから写真撮られたの?

 

「でもよくあんな物が穴から出たよ!」


 穴ですか?庭を掘ったのかしら?

 近所に遺跡があるから……出土品は小判?

 お宝なら売って現金にして下さい。

 

 五分後、正体知って落ち込むデバネズミ。


「出た時、コロンって音がしたらしいよ」

 妹の話を夫と娘にそのまま伝えてみる。


「……えっ、見てみたい!私も見たい!」

 興奮している娘。夫は痛そうな顔をする。

 

「……マジで言ってる?それより、男の人って

 穴は一つ?それとも二つ?」問うデバネズミ。

「……一つじゃないの?管が別だよ」


「……てことは、私と同じ道を通ったんだね。

 なんか親近感わくな、お母さんも見に行こう

 いつにする?」


 同じ穴通過した石に親近感。ある意味兄弟。


 父親の胆石見学ツアーから、半年経ち、

 七ミリの尿道結石ツアー計画中のデバネズミ。


 親の痛みも笑いに変えよう幸年期。


 

 

 

 

 

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