第106話 笑い上戸

「ブハ、ハッハッハッ、ハーハッハ」

 朝、自分の笑い声で目覚めるデバネズミ。

 夢を見ていたらしい。

 

『真っ二つにしたスイカを食べるオバサン。

 「スプーンをお持ちしましょうか?」

 私が声をかける。ずっと顔を埋めて食べていた

 オバサンの顔はタネだらけ』

 オバサンが志村けんに見えたのかしら?

 笑いながら起きると酸欠になっている。


「お餅はゆっくり食べてね。危険だから」

 のどにつまらせないよう、餅は二人で食べる。

 夫が食べ終わり、私も最後の一口。完食。

 安心しながお汁を飲む。


「ゲホーッ、ホーッ、ホッ」ごえん発生。

 たくさん入れた鰹節が喉に張り付く。

「お母さん、大丈夫、もう八十のおじいちゃん

 じゃないんだから、気を付けてね!」

 娘が飛んできて、私の背中を叩く。


 おっ、おじいちゃん?私年取ったら

 おばあちゃんなんだけど!

 変な所が気になって、笑いが止まらない。

 ゲホー、ホッ、ホッ。鰹節が気管支に入った。


 笑いすぎると、ヒーヒーと死にかかる。


 落ち着いて、娘の部屋でティータイム。

「桜の香りの紅茶もいいね。クッキーどう?」

「ありがとう。美味しいね」

 チョコチップの香ばしい味にご満悦デバネズミ。

「このステラババアのクッキー美味しいよね」


 ステラババア?ステラ、ババア?

 まさか、オバサン?

 

 ゲホー、ホッ、ホッ。やめて、ババアは

 やめて。せめておばさんって言ってよ!


 おばさん?やめて~。スイカのタネ付き

 おばさんが復活する。


 ゲホー、ホッ、ホッ。ごえん再開。喘息発作。

 

 笑い上戸で命を縮めるデバネズミ。

 

 

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