第104話 ナナサンよりのロクヨン

「他に洗うものある?」

 洗濯カゴを持って娘の部屋に入るデバネズミ。

「……私のこころ

 確かに!いやボケですか?えっ、何があった?


 聞き捨てならない言葉だ。心配デバネズミ。

「あのね、恋愛は駆け引きダメだよ!

 会いたかったら素直になった方が可愛いの!

 親よりも彼氏との約束を優先していいからね」


 彼氏とケンカしたんだろうと決め付け

 恋愛ノウハウを語り出すデバネズミ。

 

「急に会いたくなる事がないし、予定変更の方が

 マジストレス。あっ、洗濯物ないから!」

 シッシッと追い出そうとする娘。扱い雑。


 なんですと!これが草食?シマウマ恋愛?

 ライオンに補食されるの待ってるの?

 彼氏もシマウマ。お互い下向いて草をむ。

 

「お母さんは、会いたくなったら夜中でも

 来てもらったんだよ。次の日仕事でも、

 一時間しか会えなくても!」


 昔話を語り出すデバネズミ。


「……あっ、ゴメン。お父さんじゃない」

 十代の時の話だった。若気の至り。

 誤魔化すために話題を変える。


「あなた達、どっちがどのくらい?」

 想いの割合を聞くデバネズミ。語彙力ゼロ。


「ロクヨンかな。相手が六で私が四くらい。

 時々、変わるけどね」

「ふう~ん。いいんじゃない。まあ、恋愛は

 駆け引きだから。(一貫性ゼロ) あなたから

 見てお父さんとお母さんの割合は

  どっちがどのくらい?」


「お父さんがお母さんの事を六好きで、

 お母さんは四くらいに見えるかな。でも

 ナナサンよりのロクヨンだよ!」


 ヤッター!勝ったー。私と夫は六対四。

 そうだよ!夫は私を、アイシテル!キャハ。

 娘からみたら、ナナサンよりじゃん!キャハ。


「そこって勝負なの?駆け引きより悪いじゃん」


 結婚したら勝つか負けるかなんだよぉ!

 愛され妻にならなきゃ幸年期にならないの!


「でも、私もナナサンよりのロクヨンだから。

 お母さんよりもお父さんの方が断然好き!」


 ガビーン!昭和の落ち込み。


 夫に愛され、娘に好かれるために

 今年一年頑張ろう。目標決定したデバネズミ。

 

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