第102話 娘の笑顔 母の涙
「お母さん、貯金が220万円になってたよ!」
「よく頑張ったね。偉かったね」
「でもね、ラフレシアも咲いてたよ。ヤバ」
「……?……ラフ、ラフレシって何?」
「ラフレシアだよ!草取りほっといたら
臭い花が咲いちゃった。ゴキブリもいるかな」
首をかしげるデバネズミ。娘の手元を覗く。
預金通帳ではなく、両手にあるはDSだ。
「なんだ!ゲームの話なんだ。久しぶりだね」
「十年ぶりかな!これやるの」
娘が小学生の頃にはまっていたゲーム。
森に住む動物たちと遊んだね。
タヌキに命令されたし、ペリカンに怒られた。
リスにわざとぶつかってキレるのを楽しんだ。
「お母さん、こんな大きな魚釣ったよ!見て。
ワー、蜂に刺されちゃった。顔見て」
何か起きる度に見て見ての連続に家事放棄。
一緒に楽しんだゲームを懐かしむ二十四歳。
童心にかえって、目を輝かせて、笑うと
エクボがたまらなくかわいい。(親バカ)
あっ、私もゲームを懐かしもう。
てっとり早くYouTubeを見るデバネズミ。
「そうそう八月三十一日だよね。これ泣ける」
夏休みを一緒に過ごしたね。
晩御飯のヒントも貰ったし、虫も捕まえた。
最後のお願い「抱っこして」にウルッ。
虫バトルした友達が木に登って見送る。
エンディング曲聞きながら、ポロポロ。
ゲームで泣くデバネズミ。涙もろい幸年期。
「八月三十二日?そんなのあるの?」
涙を拭いて、興味本意にポチッとする。
「ぼくくんの下半身がない!おじさんが
青い!ホラーやないかい!私の感動を返して」
娘の笑顔の横で叫ぶデバネズミ。
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