第94話 嫌われている?

「あっ、私、今日死んでるよぉ」

 新聞の訃報欄を見ながら呟くデバネズミ。

 同姓同名の男性、74歳、お疲れ様でした。

 全く知らなくても……親近感で合掌。

 遠くに夫の冷めた視線。

 気にしない!気にしない。


「あっ、私、今日化粧してる?」

 夕方仕事に行く寸前、娘に聞くデバネズミ。

 朝、化粧したのか、してないのか忘れた。

 自己管理の低さに呆れている娘。

「フン!」鼻で笑われた。

 気にしない!気にしない!


「刀剣男子のフィギアが欲しいよ」

 夫におねだりデバネズミ。

 52歳の主婦にまたまた、夫の冷たい視線。


「もう、この歌最高だよ!聞いて聞いて」

 好きなボカロのサビを歌うデバネズミ。

「一人で楽しんでね、シッ」

 52歳の主婦にまたまた、娘の冷たい言葉。


「♪夫に嫌われている!年老いていつか

 枯れ葉のように家族に知られず朽ちていく♪

 ♪娘に嫌われている!お金がないので今日も

 パンの耳でも食べている。家族に嫌われている

 生きて、生きて、生きて、生きて、生きろ!」

 

 替え歌を楽しんでいるデバネズミ。

 



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