第87話 知ったかぶり

「また借りて来ちゃったんだ!刀を擬人化した

 イケメンが戦国の世で戦うDVD。ねぇ、

 すごいよね、この世界を1.5次元って言うんだ」

「ふっ、ン?……ハハ。私興味ない」

 

 娘に鼻で笑われた。まっいいか。

 私は同じ職場の若い子から借りたDVDを

 眺めてご満悦。明日ゆっくり見よう。



「縮んでしまった悲しみに……何着ようかな?」

 隣の部屋から娘の独り言が聞こえる。

 ふすまをバッと開けて開口一番、デバネズミ

「おぉ、中原中也をよく知ってるね!」

「ふっ、ン?だったら汚れちまったでしょ!」

 怒られた。ガビーン。昭和の落ち込み。

 衣替えしてたのかな。セーターが縮んでた?


「遅い時間はあのお店に一人で行かないでね。

 ドンクの人がいっぱいいそうだから」

「ドンク?ドンクって何?」

「ほら、ちよっと派手目な、怖い人達だよ」

「……?……?」

「だってQってって読むんでしょ?」

「……?まさか?」

「この頃よく見るんだよ、これ、DNQ」

 チラシの裏に書きなぐるデバネズミ。

「お母さん、ほんと、やめて。ネットスラング

 の一つでDQNって書くの!読み方も違うし」

 また怒られた。老眼のせいで綴りが見えない。

 適当に読むグダグダのデバネズミ。

 娘は呆れながら、意味を教えてくれる。


 

「お母さんこの前1.5次元って言ったでしょ、 

 2.5次元だったよ。間違えた、ハハハ」

「知ってたよ。1.5次元ってうすっぺらって笑

 えて仕方なかったもん」

「何で教えてくれなかったの?恥かいちゃった」

「面白いから放置しといた」


 放置?何ですとー、知ったかぶりを家族以外

 に指摘される方が覚えますけどねっ。(怒)

 

 知ったかぶりが増える幸年期。

 皆さん、放置しないで教えて下さい。m(__)m

 

 

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